静岡のお茶の地方発送承ります!
2013年07月05日 11:03
石松園の高野です。
今朝いつものように「焼津グランドホテル」で朝市を行いました。
私は基本的に毎日、何か行くことができない理由がない限りは、ホテルのロビーで朝7:30~9:30まで「お茶の試飲販売」をやらせて頂いています。ここは自分にとって、様々なお客様と顔と顔を突き合わせて「お茶」を飲んで頂き、お話をする貴重な場所です。
そこで今朝こんな質問を頂きました。「おたくは地方発送やってるの?」と。「はい、やらせて頂いております。」とお答えし、パンフレットをお渡しいたしました。そのお客様は東京から来られたお客様だったので「地方発送」という言葉に一瞬の違和感が在ったのですが、様々な地域に発送するという意味で「地方発送」なのだなと納得しました。
石松園のお客様は、この「地方発送」という通信販売でお買い上げいただく形態が最も多いです。もちろん、お店に足を運んで下さるお客様もいらっしゃいますが、割合としては「地方発送」が多いのです。静岡以外にお住まいの方は、静岡のお茶を静岡のお茶屋から直接購入するための方法として「静岡のお茶の地方発送」をご利用下さっているのです。このシステムは私がここに来た時にすでにありました。そして驚くことには、この「静岡のお茶の通信販売」という形態は何か宣伝をしたり、仕組みが在るというわけではなく、自然発生しそれがそのまま現在も行われているということです。
これは「焼津」という街の特性が大きく影響しています。
この「焼津」という街は、漁港を中心に発展し、かつお・まぐろ・サバなど遠洋漁業・水産加工業で有名です。宮城県や岩手県の漁師さん達がこの「焼津」に魚を水揚げし、帰りにお土産として「静岡茶」を持ち帰ったというのが、我が石松園の「地方発送」の原点です。当時は現在のように宅急便や運送便が現在のように充実していなかったため、お土産が出来るまでの間、石松園の2階の和室に漁師さん達が集まり、お酒を飲んだり食べたりして出来るのを待ったそうです。そしてそうした飲み食いをさせてもらうからと皆自分が獲った「かつおやまぐろ」を手土産として持ってきて下さり、店の横にあるコンクリートの廊下には魚がゴロゴロ並んでいたそうです。
そしてそうして持ち帰ったお土産のお茶を飲んで下さった方々の要望から、「地方発送」というスタイルが出来上がったのでした。そうした理由から、石松園のお客様はこの東北地方が最も多いのです。中でも宮城県石巻市や岩手県宮古市が多いです。
あの「東日本大震災」は本当に大きな出来事でした。あの日の昼ごろ、岩手県宮古市から1本の電話が在りました。
「頼んだお茶まだ届かないよ。」と。
調べるとその2日前に発送していたので「たぶん今日着きますよ。」と話しました。その直後、あの悲劇は起こりました。
先日、その電話を下さった野沢先生(漁業実習船の先生)がお店に寄って下さいました。「あれはちょうどお茶が届いて1時間くらいしたら起きたのです。不思議なもので、あの直後妻は地震の衝撃でひっくり返った金魚蜂の金魚をひろって水を入れなきゃと一所懸命だった。」と。
あの時、私たちはどうしていいかわからない日々の中「できることをしよう」と、東北地方の地図を印刷して、そこに住所をたどって印をしていきました。そして一軒一軒連絡していきました。結果、ほとんどすべてのお客様の無事が確認できました。ただそのほとんど全ての方の家は流されてしまっていました。当時石松園が出来ることとして、あるお客様に拠点になって頂いて、水やレトルト食品などの物資を送りました。今でも印象に残っているのは「タバコ」を送って欲しいというリクエストでした。「こんな時にと怒られそうだけど、現実にはタバコがないイライラから避難所でケンカが絶えない。」と。
話が脱線しましたが、この「地方発送」にはたくさんの繋がりを感じています。
では「地方発送」の利点とは?
1.うまい。(その都度、静岡のお茶を最高の状態で手に入れることが出来る。)
2.やすい。(いいものをより安く買うことが出来る。)
3.はやい。(頼んだ翌日に届く。)
(1)石松園のような製茶問屋は、その年仕入れた茶葉を「荒茶」の状態で真空パックし、窒素充填し保管しています。そして注文状況により、その都度 茶葉の状態を見ながら「仕上げ」ています。以前あるお寿司屋さんがおっしゃっていたのですが、一年通して「同じ美味しさ」を伝えるためには、季節によって酢の分量を変えていると。お茶も似ています。火の淹れ方で出来上がりを調整しています。そこからすると、以前「お茶の保存方法」というタイトルで書いたとおり、一年分買う必要は全くありません。そこはお茶屋に任せればいいのだと思うのです。お客様はその時に飲み切れる分だけを購入すべきだと思います。
(2)「通販だと<送料>がかかるのよね。」という声があります。果たして近所のお茶屋さんで買うのと、どちらがいいのか?
誤解を恐れずに正直に言います。石松園は運送会社と提携しているので、よほど大きい荷物でない限りは全国一律(北海道・沖縄以外)400円が送料です。ですが、問屋として茶小売店に卸売りする場合は、仕入れた茶葉を加工し、利益ものせるので、おのずと自社で販売する価格とは異なります。特にスーパーなどはそこに先方の利益がのるので言わずもがなです。
(3)現在は運送手段が豊富で、そのネットワークは全国を網羅しています。
これは「お茶」以外にも言えることだと思いますが、近所のお店に頼むよりも早く届く品物はたくさんあるのが現実です。
以上書きましたが、最終的にはその「お店」と「お客様」の繋がりこそが大切であると思います。
「静岡のお茶の地方発送」の利点を書きましたが、そのお店に行って世間話をすることが楽しみという方もいらっしゃるので、一概に何がいいかはお客様次第だというのが結論です。そして私は「お客様に喜んでいただく」ということをこれからも大切にしていきます。それは「お店」でも「地方発送」でも全く同じことであると考えています。