お茶コラム

抹茶の出来るまで。「栽培~お茶摘~製造」

2014年06月16日 11:29

石松園の高野です。

静岡県ではこの4月~5月の間、一番茶が摘際され、現在は二番茶の摘採が最盛期を迎えているところです。
「一番茶」とは、その名の通りで「その年最初に発芽した芽でつくるお茶のこと。」です。「二番茶」とは、
「その年2回目に摘採した芽でつくるお茶のこと。」です。茶は非常に生命力の強い植物で最大で年間4回の収穫が可能なのです。
このことについてはまた今後のコラムの中で触れたいと思います。

コラム1

今回は「抹茶の製造現場」について描きたいと思います。
「抹茶」は現在、飲料として・製菓材料として、国内はもちろん世界中に拡がりつつありますが、
それがどのようにして栽培・製造されているかはあまり語られていません。
今日はそこにスポットを当てたいと思います。

栽培

コラム1

静岡県岡部町にある茶畑です。この写真は今年4月12日の様子です。茶畑に「棚」を設置し、
被覆資材で囲って、日光から遮断して栽培します。こうして栽培することによって茶は、
「旨み」と「甘味」をしっかりと茶葉に蓄え、茶葉を青々と生育させていくのです。
被覆資材を茶葉に直接かぶせる方法で栽培する「かぶせ茶」もありますが、何と言ってもこの「棚もの」には品質的にかないません。

コラム2

製造1(抹茶の原料「碾茶(てんちゃ)」ができるまで)

今年5月23日、碾茶工場にお伺いさせていただきました。待ちに待った2014年度の抹茶生産のはじまりです。
この時期、工場は24時間交代制でフル稼働しています。そんなお忙しい中、製造現場の様子及び製品のチェック、
仕入れにお伺いさせていただきました。この時期は毎日早朝6時から夕方6時まで「お茶摘みさん」達は茶摘みをします。
そうして摘採された茶葉はどんどんトラックに積まれ、運び込まれます。
お昼前後には工場の入り口で「大渋滞」となります。

コラム3

ここからが<製造>です。

コラム5<蒸熱(じょうねつ)>

一番最初の製造工程です。生葉に蒸気を当てて酵素活性を失わせます。このことで茶葉が発酵することを防ぎます。
茶における発酵とは、一般茶葉中の酸化酵素の働きにより葉の中のカテキン類が酸化することをいいます。
この「蒸熱」の意味をわかりやすく言うと、「摘んだ葉を置いておくと、葉が酸化し、色が変色し、成分も変質していってしまいますが、
それを止めるということ。」です。ここまでは「煎茶」と同じ工程です。そしてここからは大きく異なります。

コラム6<冷却拡散(れいきゃくかくさん)>

蒸した葉を冷却します。冷却散茶機という機械が用いられます。
この機械は、高さ約7mの網を張った3~5本の角柱からなり、下部に送風機が取り付けられています。
蒸した葉を5~6mの高さにまで吹き上げる操作を繰り返し、冷却・蒸し露の除去を行い、
一枚ずつバラバラになってコンベア上に落ちていきます。

 

コラム7
8コラム<乾燥(かんそう)>

乾燥には碾茶機を使います。耐火レンガ造りで長さが約20mもある大きな乾燥室です。
炉の温度は200℃を超えています。室内温度も50℃の温度計を振り切り、まるでサウナにいるかのようです。

コラム9

一度乾燥された茶葉はさらにまた乾燥を繰り返します。

コラム10

コラム11
乾燥した茶葉はまるでおせんべいのようにパリパリです。
通常「煎茶」をつくる場合には、揉みながら水分を出して整形していくのですが、「抹茶」にはそういった工程はありません。
そして、「抹茶」においてはこの茶葉の「青さ」こそが、石臼で挽いて抹茶となった時の「青さ」に直結しているのです。

コラム12<選別>
葉と茎を分離し、製品には茶の茎の部分が入らないようにしていきます。
茎は石臼で挽いた「抹茶」の品質(色・風味)に影響を与えたり、石臼に詰まったりするため極力取り除きます。

石松園にとっては、この碾茶工場は昨年から取り組みをスタートさせて頂きました。
私はこれまで様々な産地の工場の碾茶(抹茶の原料)を自分の目や鼻や口で感じてきました
。そして、この工場と出逢い、ここまで綺麗で深みのある「青さ」と「素直さ」を持つ茶葉に出会ったことはありません。
品質の優れない碾茶には黄色っぽい茶葉などが混入していることがあります。この茶葉は見れば見るほどに素晴らしいです。
品質面において、これほどに抜きんでた茶葉を取り扱わせて頂けることに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そしてこの素晴らしさを伝えることが私のしごとであると改めて身が引き締まりました。

次回は、この碾茶を石臼で挽いて「抹茶」が出来上がる様子をお伝えさせていただきます。

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