お茶(新茶)を上手に買う3つのポイント
2013年05月29日 09:56
石松園の高野です。
前回のコラムで今回は日々変化する茶葉について描くと予告しましたが、急遽内容を変更することとしました。
というのは、今日も実際に店でお客様からご質問を頂いたので先にお伝えしたいと思ったからです。
石松園は現在「新茶フェア」という企画の真っ最中です。新茶を自由に飲めるだけ試飲して頂いたり、お買い上げのお客様にプレゼントをしたりしています。
「お茶屋は敷居が高くて入りづらい」という声も以前頂いたことがあったので、立ち寄りやすくて楽しめるお店づくりを心掛けています。その結果現在では、イラストレーターやデザイナーの作品を並べたりするようにもなりました。これまでと違うお客さまも遊びに来て下さるようになりました。
そんなお客様からこのフェア期間中何度か同じことを聞かれたのです。
「せっかくだから新茶をプレゼントしたいのだけど、一度も自分でお茶を買ったことがないのでどうやって買っていいのかわからない。」
毎年「新茶」を買いに来て下さるお客様は慣れているので「いつものを何本欲しい」で通じるのですが、初めての人はそうはいきません。
自分も数年前はそうでした。
どういう風に接客するのか勉強したくて、お茶屋さんを見つけると入ってみるということをしたこともあります。
すると本当にその通りです。どう買ったらいいのかわからないのです。
何を質問したらいいのかもわかりません。店員さんに「おいしいお茶はどれですか?」と聞くぐらいのものです。
すると大体価格の高いものを勧められます。「この最上と特選はどう違いますか?」と聞くと「それは最上の方がおいしいですよ。」という接客を受けたことは何度もありました。
ではどうすべきか。ポイントは3つです。
(1)お茶(新茶)をどのような目的で買うのか。
(2)お茶(新茶)の予算はどのくらいか。
(3)お茶(新茶)を試飲させてもらって気に入った物を買う。
それぞれのポイントを説明していきます。
(1)お茶(新茶)をどのような目的で買うのか。
自宅用かプレゼント用かで変わってきますし、またその人がそのお茶をどのように飲みたいかによっても違ってきます。
自宅でおいしいお菓子と共に1杯の贅沢な時間を味わいたい人と毎日食事の度にガブガブお茶を飲みたい人とでは買う内容が変わってきます。
(2)お茶(新茶)の予算はどのくらいか。
以下に詳細を書きますが、お茶の場合は量り売りというスタイルでグラム数によっていくらでも調節することができます。100gあたり3000円の最高級なお茶も30gだと900円です。
(3)お茶(新茶)を試飲させてもらって気に入った物を買う。
ほとんどのお茶屋さんでさせてもらえると思いますし、飲んだから買わなければいけないということもないと思います。
ひとくちに「新茶」といっても、種類や価格は様々です。大体私が接客する際は以下のように説明しています。
大走り・走り 100gあたり3000円・2000円
今年の初物です。生まれたての「新茶」の赤ちゃんです。最初に機械を使わない「手」で摘んだ茶葉です。この時期にしか感じることのできない上品でやわらかい新茶の香りを持つお茶です。静岡では「みるい(幼くてやわらかい)」という表現のしかたをします。
味という点では甘くやさしいです。
初摘み 100gあたり1500円
「大走り・走り」のみる芽(幼くて柔らかい芽)でありながら、日々逞しさを増しつつある芽でつくるお茶です。弱さと強さを合わせ持つ絶妙な香りと味わいです。日に日に変化していきますが、幼稚園~小学生~中学生といったイメージです。
八十八夜 100gあたり1000円
立春から数えて88日目のことを「八十八夜」と言います。古くからの言い伝えの通り、この時期に摘むお茶は香り・味わい共にまさに「旬」です。若さに満ち溢れた新茶です。中学生~高校生「青春」です。贈答用で一番人気のある価格帯です。
100gあたり500円
ふだん家で飲むには一番買いやすい価格だと思います。特にこの時期は一番茶100%でつくられているのでお買い得だと思います。
上記以外にお茶のくきの部分を集めた「くき茶」、粉の部分を集めた「粉茶」、芽の部分を集めた「芽茶」といった出物(でもの。お茶屋さんではこう呼びます。)は、いいお茶から出たものでおいしいのですが、お茶屋さんでは比較的安く販売することが多いです。
以前、幼稚園の子を持つお母さん達の「学級」で「お茶教室」をやらせていただいた時に「家計にやさしいお茶は?」と聞かれてこの話をしました。
また前回も少し触れましたが、お茶は産地やつくり方で全然違ってきます。
やはりたくさん試飲させてもらって「自分のお気に入り」を知ることが大切だと思います。
以上のような「お茶(新茶)」の買い方を私は提案します。