お茶コラム

新茶(お茶)のおいしい淹れ方

2013年06月05日 14:34

石松園の高野です。

「お茶はどう淹れたらおいしく飲めますか?」

今日はこの質問を店で2名、朝のホテルの朝市で2名合計4名のお客様から質問されました。
こんな日もあまりないのですが、このことはとても大切なことなのでこのテーマで書きたいと思います。

おそらく本やネットでこのことを調べると、ほぼ同じことが書かれているかと思います。
例えば「(例)煎茶(上) 3人で飲む場合 茶量6g 湯の温度70℃ 浸出時間1分から2分」という感じです。
そしてこの項目に沿って 玉露・煎茶(並)・番茶・焙じ茶と続きます。

でも、この数字をひとつひとつ覚えてその通りに淹れればおいしいかというと私は違うと思います。
また数字を覚えるのも大変だと思います。

私は最近、「市内小学校」「公民館」「幼稚園の母親学級」など様々な場所で「お茶教室」をさせて頂くことが多いのですが、どの場所でも・年齢が違っていても同じように説明します。今日はそれと同じように書きたいと思います。

写真 (2)

お茶の起源をたどると、鎌倉時代に書かれた栄西さんという方の本に「茶は養生の仙薬。延齢の妙術なり。」とあります。
つまり、スタートは「薬」だったのです。

そして現在でもその研究は進められています。
昨年バングラディシュのお医者さんの集まりから連絡を頂き、「研究したい。」とのことでサンプルを送ったこともありました。

日常的にお茶を飲むことで「インフルエンザ予防」「がん予防」「メタボ改善」「長寿」など最近では「放射性物質の除去」などたくさんの効能・効果が期待され、研究されています。(詳細は後日書きます。)

そして「お茶を淹れる」ということにこの「茶葉の成分」は密接に関係しています。
このことを理解すれば、数字を覚える必要は全くなく、そして何よりもその人のための一杯を淹れることが出来るようになるのです。

私は「お茶の淹れ方に正解は無い」と考えています。

私は最初は何もわからなかったので、前述したような本のとおりに淹れていました。

ある日、店でこんなことがありました。
店にいつも買いに来て下さる漁師さんが来店してくれました。「うめえお茶飲みてえな。」と言われたので、本の通りに忠実に淹れました。我ながらうまくできたなと思って、ひとくち口に入れゴクンと喉を鳴らした表情をみると、何だか結果がわかりました。
そして彼は「何だかぬるくて甘ったるいな。」と言いました。

そしていろいろやってみた結果、現在のスタイルでやり続けています。

お茶を淹れるにあたって、茶葉中の大切な成分は3つあります。「テアニン」「カテキン」「カフェイン」です。
この3つのどこを引き出すかが「お茶の淹れ方」の最大のポイントです。それぞれ説明します。

【1】テアニン・・・「お茶の旨み・甘み成分」。低温(30℃~40℃)で浸出する(出てくる)。
       リラックス効果があり、キレない「心」をつくる。

【2】カテキン・・・「お茶の渋み成分」。中温(65℃~75℃)で浸出する。
       抗酸化作用、インフルエンザ予防、花粉症などアレルギーの抑制、血圧上昇抑制作用、
       抗ガン・抗菌作用など。

【3】カフェイン・・「お茶の苦み成分」。高温(80℃~90℃)で浸出する。
       覚醒作用(頭がスッキリする)。気分をさわやかにし、眠気疲労感をとってくれる。

そしてこれらの成分は後から出てくるものの方が、より強く出てきます。
つまり、35℃の湯で淹れると「テアニン中心のお茶=甘みの強いお茶」になります。
75℃で淹れると「カテキン中心のお茶=渋みの強いお茶」になります。
ポットから直接茶葉に湯を注ぐと「カフェイン中心のお茶=熱くて苦いお茶」となります。
茶葉も火傷するのです。

写真 (3)

お茶をおいしく入れる為に必要な道具は「急須」「湯のみ」です。

まず最初にポットからお湯を「湯のみ」に注ぎます。
これは「計量(人数分どおりピッタリの量にできるように)」の意味と「湯冷まし」の意味があります。
1回お湯を移すごとに約7℃くらい温度が下がります。

写真

よく淹れ方を説明すると「そんなたかがお茶飲むのに時間かけられない。朝は忙しい。」と言われますが、おそらく1分の違いでいつもの数倍おいしいお茶が飲めます。
いつもの急須に入れるのをやめて、湯のみに1回入れるだけで違うのです。
そして一番いいのは、ポットから「湯のみ」に入れたときは、湯気がボーボー出ていて熱くて「湯のみ」を握っていられないと思います。置いておくと徐々に湯気が収まり「湯のみ」を手で持っても熱くならなくなります。
ここが淹れ時です。先ほど記したようにこの間1分位です。

そして浸出時間ですが、私の場合は基本1分と考えています。
「淹れる温度」×「時間」というイメージです。
「玉露」などをあまりに低い温度で淹れた場合は、時間を延ばして成分が出るようにしますが、基本は温度のところで決めてるのであまり時間は変えないようにしています。
また、「香り」を楽しむ「ほうじ茶」や「玄米茶」や「烏龍茶」などは「熱湯」の方が「香り」が引き立ちます。

あと注意すべき点は「淹れるとき、急須の中の最後まで絞り切る」ということです。

お茶の世界では最後の一滴を「ゴールデンドロップ」と呼んで「いちばんおいしい最後の一滴」といいます。
先日小学校でのお茶教室でそのことに触れたとたんに、誰が最後の一滴を飲むのか大騒ぎしジャンケン大会になってしまいましたが・・・。

写真 (1)

確かに最後の一滴は濃厚な一滴です。
そしてこれは2煎目を飲むために大きな意味があると私は認識しています。
急須の中に水分が残っているとその水分によって茶葉は浸出し続けてしまうからです。
そのことで次に飲む一杯がおいしくなくなってしまいます。
ですから、急須は1回使うごとに中に水分を残さないことが大切です。

以上、それぞれのポイントを踏まえて淹れれば誰でもが美味しいお茶を入れることが出来ると思います。

やはり最終的には「飲む人に喜んでもらうこと」が大切です。
先述した漁師のおじさんは熱湯で淹れた苦いお茶が好きなのです。そして女性は甘いお茶が好きだという傾向が強いように思います。

上記にある「3つの成分のどこを出すか」を考えて淹れれば、その人のためのその人が喜ぶ一杯を淹れることが出来ると思います。

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