お茶コラム

母の日に贈りたい「最高のお茶」

2014年04月30日 10:53

石松園の高野です。

今月20日から新茶がスタートして、ちょうど10日間になろうとしています。
不眠不休で一気に駆け抜けてきた茶の生産家の皆さんですが、この29日と30日は雨のため茶の摘採も、一旦小休止となりそうです。茶の摘採は、雨の日は余程のことがない限りは基本的に行いません。雨の日に摘んだ茶葉は、「雨葉(あまば)」や「雨茶(あまちゃ)」と呼ばれます。濡れた茶葉で製茶(茶づくり)すると品質面において、作業効率と言う面において良くなく、またできた茶の水色(すいしょく。淹れた茶の色。)が悪く、原料の量に対する製品量の比率も良くないために、つくる側にとっても仕入れる側にとってもいいことがないからです。

そんな中、石松園では今年から提案させて頂いた新しい「茶」へのお問合わせが増えてまいりました。
特に「母の日」のプレゼントとしての依頼が多いです。

写真1

「生茶」です。茶業界では「荒茶(あらちゃ)」と呼びます。私達のような製茶問屋では、農家の方からこの「荒茶」を仕入れて、仕上げ加工をした「茶」を袋や缶に詰めて販売致します。茶の茎の部分や粉の部分を取り除き、再度乾燥工程を行うことで、見た目にきれいで保存できる「茶」に仕上げます。

それに対して、「荒茶」とは、茶の生葉を茶農家の工場で一次加工した茶のことを言います。摘採した茶葉を荒乾燥させた「茶」の原料です。一般的に形状は不揃いで、含有水分も多い茶葉です。ただ、この「荒茶」はこの時期にしか味わうことのできない「新茶」の魅力を最大限に持つ茶葉であると私は感じております。

茶の茎や粉や芽など、「茶そのもの」全てがそこにあるということ。そして「新茶」特有の生々しい香りと味わい、瑞々しさを最大限に持っているということです。ただ、先に述べた乾燥が充分でないという問題点もあります。そうしたことを踏まえ、今年度より工夫をして販売することに致しました。

ひとつには、「この時期のみ、指定した「茶葉」のみを販売させていただく」ということです。
この4月より販売をスタートさせて頂きますが、私が今年度「生茶」として販売したい最高な「荒茶」と決めた荒茶を、なくなり次第終了という形で販売させていただくということです。
今回選んだのは、4月27日に摘採された「№6」です。ちょうど、茶葉の色目や味が変化し始めた茶葉です。それまでのやさしく幼い感じの茶葉から、少しずつ「旬」の力強さを持ち始めた茶葉です。また、石松園では翌日の茶葉から仕上げた方がいいと判断したため、仕上げの必要ない最後の茶葉であります。

石松園では日々摘採された順番に、全ての茶葉に番号を付けていきます。そしてご来店頂いたお客様から「100g2000円の茶葉はどういう茶葉ですか?」とご質問を頂いてもすぐにご説明できるようにその原料である「荒茶」をケースに入れてお見せできるようにしています。

写真2

ふたつ目には「賞味期限を通常よりも短く設定し、6月末とさせていただき、そこまでにお飲み頂けるように販売すること」です。先に述べた「乾燥が充分でないこと」から夏前にはお飲み頂きたいということから、そうさせていただきました。

みっつ目には「必ずチャック付きの袋に入れて販売すること」です。
通常「茶袋」には「チャック付き」と「チャックなし」があります。先に述べたこの「茶葉」の特徴から、鮮度を保てる工夫を最大限対応させていただきたいとのことからこうしました。

そして、この時期にしか味わうことのできない「新茶」の魅力、そしてそのために力を注ぐ「茶農家」「茶問屋」の想いをこの「生茶(荒茶)」を通してお伝えしたいと思います。

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