お茶コラム

熱湯で淹れてもおいしいお茶とは!?

2013年11月20日 11:49

石松園の高野です。

前回は「山の香り」と「濃厚な味わい」を持つ「茶」について描きました。
今回はその逆です。

最近、特に30代・40代のお客様からお問合わせの多い「甘いお茶はありますか?」や「熱湯で淹れてもおいしいお茶はありますか?」というお問い合わせに対する私なりの回答です。

以前のコラムでも触れましたが、お茶の味わいにおける3大成分は甘み成分の「テアニン」、渋み成分の「カテキン」、苦み成分の「カフェイン」です。お茶を淹れる際にはこれらのどの成分を最大限に引き出すかということがポイントとなります。そしてその引き出す手法という点において、「湯の温度」が重要となってきます。ただ今回の条件は「熱湯で淹れる」と決まっています。ということは、元々「テアニン」という成分を多く含んでいるお茶が今回選ばれるべき「茶」と言うことになります。「テアニン」とは、「京都茶業会議所」で今から60年数前に発見された成分で、植物の中でも茶の樹とその近緑種(ツバキやサザンカ)、ニセイロ替わりにしか存在しない成分だそうです。グルタミン酸と類似した構造を持つアミノ酸で、上質な「旨み」と「甘み」が特徴です。また、テアニンの効能面での特徴は、大脳をリラックスさせるというもので、ホッとしたい時にピッタリなお茶です。今回は、「テアニン」という成分にスポットを当てて、「部位別」、「産地別」、「変化球」における「甘みの強いお茶」第一位を発表したいと思います。

「部位別」部門第一位 「くき茶(棒茶)」

写真1

茶の茎の部分を集め、つくるお茶が「くき茶」です。またその茎が棒のような形状をしていることから「棒茶」とも呼ばれます。今から60数年前、茶樹内で「テアニン」がどのように生成し、転流するかが注目され、「テアニン」の代謝に関する研究がなされたそうです。その結果、「テアニン」は葉ではなく、根でつくられるということがわかりました。そこから一番近い「茎」には「テアニン」が豊富に含まれているというわけです。石松園の「くき茶」は「料亭」や「割烹」、「小料理屋」などでお使いいただくことが多いです。「寿司屋」や「うなぎ屋」は、口の中をサッパリとさせてくれる「粉茶」が多いのですが、「くき茶」には上質な「旨み」と「甘み」が感じられるからかもしれません。

「産地別」部門第一位 「望(のぞみ)」(牧之原産)

写真2

前回の「山のお茶」と比較すると全く対照的な「茶」がこの牧之原市で生産される「望」という「茶」です。
牧之原市は、温暖な気候と長い日照時間が良質なお茶の栽培に適しているため、市内には約2,610ヘクタールの茶園が広がっています。その「牧之原の茶」の特徴として、普通の煎茶よりも蒸す時間を長くした「深蒸し茶」が主流です。外観より香味を重視したこの製茶法は、明治時代の手揉み茶製法に由来し、牧之原地域で明治時代の中期に考案されました。茶葉を製茶する行程にある「蒸し」の時間を2~3倍長くすることで、通常の煎茶に比べコクや旨みが十分に引き出され、なおかつ苦渋味を緩和させたまろやかな味わいのお茶ができあがるのです。つまり、今から約100年前にこの牧之原には既に深蒸し茶が存在していたのです。

その「牧之原茶」の中でも、JAハイナン(この地域の農協)独自の基準をクリアしたものだけを静岡牧之原茶「望」として認証されています。この「茶」の特徴は「綺麗な緑色」と「旨み」「甘み」です。水で淹れても、その緑色は鮮やかです。
また「渋み」が少なく、まろやかな飲み口は「お茶は苦い。」と言う子供でもおいしく飲んで頂けると思います。
これから猛威をふるうインフルエンザへの対策としても、有効なのではないかと思います。余談ですが、静岡県内では風邪をひかないようにと小学校の水道の蛇口から「お茶」が出るという小学校もあるほどです。

写真3

「変化球」部門第一位 「うす茶あられ」

写真4

「ウス茶あられ」とは、上質の抹茶と白砂糖を混ぜ合わせたものに「あられ」を加えたもので、「あられの香ばしさ」を味わうためにホットで飲むとおいしい飲み物です。お湯に溶かすだけで「抹茶ドリンク」がつくれるとして昭和初期に誕生したそうです。お湯に溶かすだけという手軽さと甘いドリンクとして当時は画期的な新ジャンルの飲み物として大ヒットしたそうです。昭和10年頃には、海を渡り満州や香港、そして遠く南洋諸島からも注文が来たそうです。戦時中は、砂糖の配給停止によって一時製造は中止となったそうですが、昭和24年頃にはまた製造が再開され、「身近な飲み物」として長く親しまれてきたという歴史が在るそうです。だから静岡県では「子供のころを思い出す懐かしい味」としてまた「一年中欠かせない飲み物」として在るのだそうです。また、飲みながら「あられ」もそのまま食べることが出来ます。石松園ではこの「あられ」にこだわり、「抹茶入り玄米茶」にも使用している熱風で焙煎したプリプリして艶のある玄米を使用しています。「玄米」には、健康面における様々な効果が在ると言われています。例えば、「食物繊維が豊富であり、便秘の解消やコレステロール・脂肪・糖分の吸収をされにくくし、体外に排出しやすくすること」「ビタミンB1が豊富であり、疲労回復効果があること」などです。また何よりもその淹れた時の「香り」にホッとする安心感があり、1日の疲れも吹き飛ばす「癒し」の効果があると思います。また、この2つの飲み物はお湯で飲んでも、水で飲んでもおいしいです。また牛乳と混ぜたり、アイスクリームにかけたりして愉しむこともできます。
前回述べたように「茶」には、無限の「種類」と無限の「愉しみ方」があります。
そして、その中には唯ひとつの正解は存在しません。飲む人が「おいしいと感じること」、「ホッと一息つけること」、「また飲みたいと思うこと」にこそ、その「茶」の持つ効能が在るのだと思います。ひとりでも多くの方にそれをお伝えするのが私の仕事です。

ネットショップ

ページトップへ

石松園銘茶本舗 静岡県焼津市栄町6-7-5 TEL:054(629)6123

お気軽にご相談ください お問い合せ

2013 (c) 石松園銘茶本舗 All Rights Reserved.