知る人ぞ知る、この時期の「茶」の味わいとは??
2015年10月22日 22:32
石松園の高野です。
今日は横浜からお客様がお見え下さいました。
長年、石松園の茶をご愛飲いただいているお客様です。
85歳になられたそうですが、いつも笑顔で元気いっぱいです。
娘さんご夫婦、お孫さんとお見えになりました。
お会いしたのは数回ですが、お電話では何度もお話させていただいているのでいろいろな話に花が咲きました。
「あなたもお茶屋になって10年、お茶屋らしくなったじゃない。」
と最高のお言葉をいただき、とても嬉しく思いました。
お茶を飲んでいただきながらお話していると、こうおっしゃいました。
「私は 『森の改良 手もみ茶』 が大好きで飲み続けているけど、
この時期のお茶がいちばん好きなのよ。もちろん新茶には新茶のおいしさがあって好きなのだけれど、
この夏を越して涼しくなった今頃がいちばん好き。」だそうです。
好みにもよりますが、こうおっしゃるお客様は多いです。
事実、今回淹れた茶は5月15日に摘採された茶で、この5月の新茶時期にこのお客様にお送りしたお茶と同じ茶です。
それが「5月に飲む味わい」と「10月に飲む味わい」とで違った味わいが現れるのです。
これは古来から伝わるもので、現代にも伝えられています。
今年も10月25日に、ここ静岡では「お茶壺道中行列・口切りの儀」という企画が行われます。
「 江戸時代、『茶』をこよなく愛した大御所 徳川家康公の命により、
春(新茶の時期)に茶壺にお茶を詰め、夏の間冷涼な井川の地で保管・熟成させ、
秋になると駿府城へ運び、茶壺から取り出し、茶会に供された 」
この故事にならって、毎年開催されて33回目を迎えるのだそうです。
この企画に表されているように、夏の間に冷暗所で保管した「茶葉」は
熟成された独特の味わいを身につけるのです。
人によっては 「枯れた味わい」 ともいいます。
新茶時期のフレッシュで力強い味わいが、時を経ることによって、
角がとれて、優しく、丸くて、深い味わいへと深化するといったイメージです。
私の先生、尾村さんは言います。
「玉露は3年ほど熟成させると本当の味わいが出てくる。
現代のスピードでは難しいかもしれないが・・・」。
お客様から教わる、この秋ならではの「味わい」を
伝え、届けたいと改めて思った今日でした。