秋の茶園。 静かに 凛といる 「お茶の花」 。
2015年11月02日 20:00
石松園の高野です。
みなさんは「茶の花」を ご存知でしょうか?
お茶の花は ちょうど今頃に咲くのです。
近年盛り上がりを見せるハロウィン、秋の収穫を祝うこの頃、
秋の茶畑は、静かにそして確実に、来年の春 「新茶」 に向けた準備が進められています。
そんなこの時期の茶園に行ってみると、ポツリポツリと茶の樹に真っ白な花びらと黄色いオシベを持つ可憐な花を見ることが出来ます。
これが「茶の花」です。
先週の土曜日、ハロウィンの日に撮影しました。
この茶の花は、時期としては10月から11月に咲きます。
直径3cmから5cmの大きさで、ちょっと下向きに咲く花です。
そしてその横には「茶の実」をつけています。
写真中央の花の左にある緑の豆のようなまんまるな実です。
この茶の花は、よく「椿」や「サザンカ」の花と似ているとおっしゃる方が多いのですが、それはこの「茶の樹」も同じ種類に属しているからです。
「茶の樹」は学名「カメリア シネンシス」といい、ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。
常緑樹とは、一年中葉をつけている植物のことを言います。
だから似ているのです。
この「茶の花」はとてもかわいらしいのですが、
茶園を管理する生産家にとっては必ずしもいい存在ではありません。
茶の花が咲き、茶の実がつくということは、茶畑の養分がその花や実も消費することとなり、
しっかりと養分をあげたい葉にしっかり届かないこととなるため、取ってしまうことが多いです。
また、茶の花がたくさん咲くということは、茶の樹にとっての気候状況がおかしかったり、
茶の樹が弱っていることの表れだとも言われています。
ただ、そうした「茶の花」が実は驚きの成分を持っているということも最近研究がおこなわれています。
古くから中国ではこの花を食べたり、飲んだりするという習慣が在るそうです。
そんな中、現在注目されているのは「フローラテアサポニン」という成分です。
この成分には、糖や脂肪の吸収を抑制する働きや、脂肪の形成や蓄積を抑制する働きがあるため、糖尿病や肥満予防に効果的だそうです。
その結果、現在生活習慣病と並んで深刻化しているメタボリックシンドロームの予防にも効果的であるとして研究がすすめられているそうです。
また中国では、この「茶の実」を絞って、そこから採れる油を「ツバキ油」のように食油や化粧品として使用することもあるそうです。
日本でも昔は、そうした使われ方もしたそうです。
そしておもしろいことには、地図記号の「茶畑」の表示はこの「茶の実」で表わされています。
また「茶の花」は俳句の季語として使われることも多く、調べてみるとたくさんの俳句に出逢うことが出来ます。
この時期、秋の茶園には、春の「新茶」の頃とはまた違った趣の在る姿が在ります。
そんな可憐でかわいらしい「茶の花」と「茶の実」も愉しんで頂きたいと思います。