お茶コラム

秋摘み抹茶

2013年10月09日 13:23

石松園の高野です。

先週、「秋摘み碾茶(てんちゃ。抹茶の原料。)」の仕入れに、静岡県藤枝市岡部町の山奥の茶畑に行ってまいりました。
今年最後の碾茶の仕入れです。

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茶はとても生命力の強い植物です。ここ静岡県では、その土地の寒暖の差で地域差はありますが、4月中旬~5月中旬に摘採する「一番茶」に始まり、そこから45~50日後(5月下旬~6月下旬)の「二番茶」、その後7月~8月の「三番茶」、そして9月から10月に摘採する「四番茶(秋冬番茶)」と年間4回摘採することが出来ます。ただし、実際に摘採するかどうかは、「気候条件」や「茶園の管理方法」によって異なってきます。石松園の伝統の茶「遠州森町奥の玉緑茶」は高地で気温も低いため、例年「二番茶」で終了しています。

今回おじゃまさせて頂いた時もこの岡部の共同茶工場には、この地域の生産家が入れ替わり立ち替わり、トラックに山積みした「茶葉」を運んでいました。そしてこの茶葉を24時間体制で「碾茶」にするため、機械はフル稼働していました。

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生産家の方と出来上がった碾茶を見ながら、いろいろなお話を聞きました。とても興味深かったのは「この時期の茶葉の碾茶づくりはとても難しい。」というものでした。その理由を、詳しく説明して下さいました。

実際に見せてくれましたが、摘際された茶の中には樹勢(樹木の勢い)が強く、三番茶の上に四番茶の新芽が突き出ている茶とそうでない茶が混ざっていました。三番茶は固くて大きな葉です。その上に出た四番茶はまだ赤ちゃんのように柔らかで小さな新芽です。これらを、「蒸す工程」と「乾燥させる工程」と進めて生産していくのですが、蒸す時の蒸気の量や乾燥させる時間をどこに合わせるかによって、この2種類の茶葉をいい具合につくることが難しいということでした。葉の大きさも固さも違うため、その焦点も当然違うのです。

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「では、もっと早く摘採したらどうなのか?」と聞いてみると、例えばこの三番茶は8月後半あたりから出てくる新芽なのだそうですが、その時期に摘採してしまうと、この9月のぬくとさ(暖かさ)でまた今の時期に芽が出てきてしまうということでした。「では逆にもう少し遅くするとどうなるのか?」今度は最後の摘採が遅いがために、栄養分不足で冬の寒さに耐えきれずに枯れてしまう場合が在るのだそうです。

そしてこのことには、この地域では「三番茶」は摘採しないという茶園管理方法が大きく影響しています。それは、来年の「一番茶」が本当においしくて、栄養分満載の新芽にしたいからということでした。三番茶を摘採するとその後に出てくる四番茶はとても小さい芽となってしまいます。この四番茶の新芽は来年の一番茶のときには、大きくて硬くなって「親葉」となるのです。その親葉が、大きくて健康な葉になるように管理しているのだそうです。そのためこの時期の摘採は「茶摘み」という意味合いと「ならし」という来年の為の準備という二つの意味を持っているのです。来年の一番茶を高品質で収量もしっかり確保するための準備運動なのです。

では、この「秋摘み抹茶」はどんな良さが在るのか?

1.買いやすい価格の抹茶である。気兼ねすることなく、ふんだんに「抹茶」を使うことが出来ます。
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2.カテキンが豊富である。「茶」の最大の健康効能であるカテキンは「春摘み」よりも「秋摘み」の方が格段に豊富に含まれています。
それをまるごと体内に取り込むことが出来ます。そして「抹茶」なので「粉末緑茶」よりも渋みが少ないです。ガン予防・糖尿病予防にオススメです。
3.飲み口がスッキリしている。飲みやすいです。

茶葉を仕入れた後、どんな抹茶が出来るかすぐに見てみたくて山のふもとに在る「石臼の達人」の家に寄りました。
すると、ちょうどイノシシを運びこむ最中でした。
こんな大自然の中で育った「秋摘み抹茶」をどうぞ。

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