石松園の高野です。

いつもお世話になっている「焼津グランドホテル」様において、
今月より新しい企画をお手伝いさせていただくこととなりました。

「海椿」(うみつばき)という富士山と駿河湾の眺望が素晴らしい高層階の限定１２室において、
そのアメニティとして石松園のお茶をおいてくださることとなったのです。

当初、そのお話を頂いた時には漠然と「茶缶に入ったワンランク上のお茶を
部屋でくつろぎながら飲むことが出来て、またそれをお持ち帰りできるアメニティを」というお話でした。

そこで私はせっかく声をかけて頂いたのであるからベストを尽くしたいと考えました。
イチバンは「そのお部屋にご宿泊されたお客様に感動を与えなくてはならない。」ということです。
これが私の使命なのです。
そこで様々な角度から「この部屋にご宿泊されるお客様」はどんなお客様であるかを考えました。
そして何を望んでいらっしゃるのかを考え、「この部屋の魅力は何か」を考えました。

・「感動」を体感することができる。
・他では味わうことが出来ない「満足」を感じることができる。
・特別な日（記念日など）に利用したいと感じる（できれば何回でも）。
・「焼津」という括りにとどまらず、それよりも大きな
「日本」「和の文化」「おもてなしの心」を堪能することができる部屋である。
・「海椿」に宿泊すること自体が目的であり、ステイタスを感じている。

その上で、以下のように、ご提案をさせて頂きました。

(1)魚料理に合う「茶」
「富士山と駿河湾」というテーマから考えました。石松園がメインに取り扱う茶葉は「遠州森町」の茶です。
この地の茶の特徴として濃厚な滋味が挙げられます。
また、製法上「中蒸し」であり、山の香りを出すことに力を入れております。
昨今注目された「深蒸し煎茶」はそのまろやかな味わいが特徴的ですが、
魚料理を食した後に口の中をキリッとスッキリさせるには多少弱さを感じます。
また、この茶は魚料理や濃い味の料理を好むと言われる東北地方に熱烈なファンが多いのもその裏付けと言えます。

(2)ホテルからイチバン近い銘茶産地の伝統茶
この「茶」は静岡県藤枝市岡部町にて栽培された「朝比奈の在来種(ざいらいしゅ)」です。
「在来種」とは、現在日本で栽培される「茶」全体の５％にも満たない貴重な茶品種です。
古来より続く伝統的な製法で仕上げました。独特の香りと甘み、いつまでも余韻の残るうまみ。
ゆったりとした時間の中で、じっくりと心ゆくまでご堪能いただきたい「茶」です。
この茶は、現在とても希少価値の在る「茶」であり、御社の今回の企画にふさわしいかと存じます。

(3)お客様が好みで選ぶことのできる「茶」
チェックイン後には、まず一服の茶で一息つかれるかと思います。
その際に好みや気分に合わせて選べるというサービスは日本の、
そして静岡県の宿ならではのひとつのサービスかと思います。
ベーシックな展開であれば「煎茶（浅蒸しと深蒸し）」「抹茶入り玄米茶」「烏龍茶」「ほうじ茶」「番茶」
（ほうじ茶・番茶はカフェインが少なく、妊婦さんや小さなお子様におすすめです。）など、
より深く展開するのであれば「玉露」「抹茶」「品種茶」「産地別の茶」といった展開方法です。
特に「抹茶体験」はとても人気が在ります。

(4)季節に合わせた「茶」
日本には四季という素晴らしい季節の移り変わりがあります。
それに合わせて変化させることも「茶」のひとつの愉しみ方かと存じます。
例えば、４月中頃～５月末は「新茶」、６月～８月は「冷茶」、９月～１１月は「秋の茶」（玉露など）、
１２月は「クリスマスの茶」、元旦は「大福茶」、２月～３月は「品種茶」や「節分の茶」「ひなまつりの茶」
といった具合です。記述させて頂いた内容はあくまで一例です。様々なバリエーションをご提案させて頂きます。
（月毎に１２種類という展開も可能ですし、また行事ごとに合わせてより細分化することも可能です。）

(5)記念日に合わせた「茶」
ホテルで過ごすという意味と気持ちをより高めるための「茶」です。
それぞれの記念日に合わせた「茶」とそれぞれの記念日に合わせた「パッケージ」に包んではいかがでしょうか。
内容・パッケージについては、客層やイメージなどをお伺いしながら共に企画していけたらと考えております。

そんなやりとりの結果、「今回、まず最初は（２）のホテルからイチバン近いイチバンおいしい茶を。」
というご要望でした。そこで、その「茶」を「缶」に詰め、上記文面のしおりを作成し、ご提案をさせて頂きました。

今回のこのお部屋にご宿泊されるお客様が感動し、ホテルの喜びが増えることを願い、心を込めて「茶」をお詰めしたいと思います。