いちねんに一度の配達。
2015年02月06日 21:07
石松園の高野です。
先日のコラムでも少し触れましたが、先月最後の日曜日に清水港にお茶を届けに行きました。
毎年一度、船で静岡県に上陸する小川さんに会いに行ったのでした。
その昔、宅急便が今のように便利ではない時代、船のおじさん達は「焼津港」に魚をおろす間、
街へ繰り出しどんちゃん騒ぎをしたのだそうです。そして、石松園のようなお茶屋によってお土産のお茶を頼み、
お茶屋の店先や二階の部屋にあがりこんで、酒を飲み話をしながらお茶が詰まるのを待ったそうです。
残念ながら、現在ではそんな光景を目にすることはありませんが、当時のお客様は船を降りた後も
石松園でお茶を買ってくださっています。
現在はみなさん「通信販売」という運送便を使う形式ですが、この小川さんは60過ぎても現役バリバリで、
運送便でなく昔ながらのスタイルでお茶を買いに来て下さいます。
運送便もあり電話すれば届くのですが、小川さんも奥さんもこのスタイルがいいのだそうです。もちろん、私もです。
奥さんは電話で「本当はお正月に欲しかったけど、もう少しだから我慢してまったよ。」と言ってくれました。
船がどの港にはいるのか分かった時点で、奥さんから電話があります。
「~日、~港に入るから、~茶を何本、~茶を何本届けてほしい。」といった具合です。
すると、当日着いた小川さんから「~日水揚げで、時間あるから持ってきて。」と連絡があります。
もう10年近く、毎年配達に行っているので慣れましたが、初めて届けに行ったときは驚きばかりでした。
船の上から手招きされているのですが、埠頭から船につながってるはしごのような道は以外に細くて狭く
ガタガタしていて海に落ちそうです。
その後、船の上にラーメンの出前を頼んだり、大きなスポーツバッグくらいのマグロの卵をたくさんもらって
大騒ぎしたりと、いろいろなことがありました。
最初は言われるがままに届けていましたが、近頃では毎年その頃になると「いつかな」と楽しみに待つようになりました。
毎年10月に来られるのですが、今年はいくら待っても来ないので家に電話してしまいました。
すると奥さんから「いつもの船じゃないから来年の1月になるよ。」と言われました。
そして待ちに待った日が25日だったのです。いつもと違う「清水港」だったので迷いましたが、
フェリー乗り場のおじさんが親切に教えて下さり、たどり着くことが出来ました。
ちょうど水揚げの真っ最中でした。ガタンガタンと魚がおろされる横で、一年ぶりの再会でした。
いつものように、昨日のできごとをぼそぼそ話すような感じの、まるで感動的な再会ではないのですが、
本当にこころから嬉しいひとときです。
帰り際、「おみやげ。」と言ってくれました。途中、立ち寄ったインドネシアで買ったお茶だそうです。
「また来年来るから。」とくれました。
今から来年が楽しみです。