2015年、最終の「茶の定期便」。
2015年12月19日 19:22
石松園の高野です。
ここ数日、年末の慌ただしい日々を過ごさせていただきながら、幸せを感じております。
いつもの月より少し遅れてしまいましたが、今月も「茶の定期便」を発送させていただきました。
この「茶の定期便」とは、石松園のお店ではここ数年扱っている商品で、この6月から「ふるさと納税」のお礼品のひとつにも加えた商品です。
これは毎月、私が届けたいと思う「茶」を厳選してお届けするというものです。
季節に応じて、またその時期に飲むことがベストだと思う「茶」を選ばせて頂きます。
ここ数年お届けしてきた経験から基本的なメニューについては決めていますが、その時々でこれは今届けたいという「茶」があれば盛り込みます。
北は北海道から南は鹿児島県までのお客様に、静岡県の茶を、その時伝えたい茶をしっかりと伝えたいという一心でつくります。
それはひとつのコース料理のようなイメージでつくります。
今月、12月の「定期便」です。
「 お茶の定期便 (12月)」
いつも、ありがとうございます。
師走、何かと気ぜわしいこの頃となりましたが、いかがお過ごしですか。今月は、今年の締めくくりとして、
また新しい年を慶ぶお正月の茶として 「大福茶(おおぶくちゃ)」 をお届けしたいと思います。
「大福茶」 とは 。
日本茶業中央会監修の「緑茶の事典」によると、
「関西で、主として正月に行われる縁起物の茶で王服(おうぶく)茶(ちゃ)・皇服(おうぶく)茶(ちゃ)ともいう。
今日でも梅干しや昆布をお茶に入れたものを飲む習慣がある。」 とあります。
その由来は、天暦5年(951年)、村上天皇の時代にまでさかのぼります。当時、都に流行していた疫病
を退散させるため、六波羅密寺(京都)の空也上人が観音菩薩像を作り、車に乗せて街中をまわりながら、
疫病に苦しむ人達にお茶をふるまったそうです。やがて、疫病はおさまり、病に伏していた村上天皇もこのお茶で平癒したと伝えられています。
以来、村上天皇は正月元旦にこのお茶を服して人々の無病息災を祈るようになり、「皇服茶(王服茶)」と呼ばれるようになりました。
「皇服茶(王服茶)」は、庶民に幸福をもたらすという意味から「大福」の文字があてられるようになり、悪疫から逃れられる縁起の良いお茶として言い伝えられています。
現在でも、六波羅密寺(京都)では正月三が日皇服茶がふるまわれたり、多くの家庭が大福茶で正月を祝うそうです。
一方では、「大服茶」とも書き表され、お茶を多量に飲む意味の「大服」の音が「大福」の縁起に通じることからこの名がついたという説もあります。
この大福茶とは、お正月のお祝いのお茶として、一年間の無病息災を祈り、幸せを願い飲むお茶のこと
です。そして、「大福茶」 には人々の健康・幸せを祈り、願う気持ちが込められているのです。
そんなお茶を元旦に飲む幸せをぜひ味わって頂きたいと思います。
(1) 大福茶 (おおぶくちゃ)
石松園では、上記した「大福茶」の由来を表現するために、その 「想い」 を大切に考え、おつくり致しております。石松園の大福茶には、緑茶・金箔・黒豆・玄米・花(玄米をはざしたもの)・抹茶の6種類が配合されております。そしてそのひとつひとつに意味・想いを込めております。
「緑茶」には、石松園独自の茶 「森の改良 手もみ茶」2015年度一番摘みを使用しています。
「金箔」は「新しい年を迎えた喜びとお祝いの華やかさ」を表現し、「豆」には「穀物には生命力が備わっており、また節分同様に一年の無病息災を願うという意味」を込めています。
「玄米」と「花」は「お祝いを演出する色と香り」です。 また、玄米の香りには「癒し」の効果があり、
ビタミンBなどが豊富に含まれております。また緑茶と組み合わせることでビタミンCも摂取でき、美肌・ストレス解消にもつながります。「抹茶」はお祝いを綺麗な緑色で表現すると同時に、「茶」をまるごと体内に摂取することで健康的な成分を取り込めるという一年の健康への願いも込めてあります。
特に、インフルエンザの流行する冬はカテキンパワーで乗り切って頂きたいです。
想いの詰まった 「色彩」 「香り」 「味わい」 その全てを お愉しみいただきたいです。
(2) 森の改良手もみ茶
今年一年間の感謝を込めて、日本唯一の石松園の伝統茶「森の改良 手揉み茶」をお選びさせていただきました。
中でも、今年五月、最初に遠州森町に在る山の茶園で摘採された茶葉を、ひと夏冷蔵庫で保管して熟成させ、仕上げた一品です。新茶から感じるフレッシュさとはまた一味違った味わいと香りをお楽しみいただきたいです。
(3) 「茶の字 茶飴」入り 干支缶
2016年の干支 「申(さる)」 の柄の友禅和紙を職人さんが一本一本巻いた茶缶に、
「茶飴」 をお詰め致しました。
そして、この「茶飴」は昔から伝わる伝統製法でひとつひとつ手造りで仕上げられています。
太いひすいの緑色にも似た飴の塊と『茶』の文字に形づけるべく白い飴を組み込んでいきます。
この時点では直径30センチほどあるサイズの飴を徐々に伸ばしていき、最後に1センチ四方の飴になるとき『茶』の文字がくっきり現れるという製法です。
お茶のお供にお召し上がりください。
日に日に寒さを増していますが、お風邪などひかぬよう お身体 ご自愛ください。
お茶の石松園 高野 一夫
以上が今月の「おしながき」です。
この年末年始に味わっていただきたいと思う「茶」をひとつの便にまとめました。
伝えたいのは、茶における「季節感」と「愉しさ」です。
そしてさらに、今年一年間の感謝と新しい一年への想いを込めておつくりいたしました。
毎月、私はまるで料理人のような気持ちでその月のメニューをつくります。
今という季節に最適でその中心となるべき茶の王道をしっかりと置き、さらに喜びへとつながるような愉しさや驚きというスパイスも加え、
その全体から茶の持つ癒しというやさしさを感じていただくことができるように取り組んでいきたいと思います。
今年も最終便を無事にお送りすることができました。
新しい一年も、楽しみに待って下さっているお客様との毎月の出逢いに胸をときめかせながら、精一杯愉しく仕事したいと思います。
そして、今年の残りの日々と新しい年のはじまりを一気に駆け抜けたいと思います。
年末年始、石松園は休まず、楽しく営業させていただきます。
よろしくお願い致します。