今夜、熱々のお茶を。
2016年01月20日 11:38
石松園の高野です。
ここ数日強い冬型の気圧配置の影響で、日本各地で雪が降り寒さが増しています。
昨夜はとても寒い夜でした。
一日の終わりに大好きな作家の本を読んでいたら、こんな一節がありました。
北海道を舞台にした話の中の一節です。
~
わたしは急須に茶葉を入れ、石油ストーブの上のヤカンを手に取った。
ヤカンの熱湯を急須に注ぎ、客用の湯飲みと共に食卓に置いた。
わたしは茶を湯飲みに注いだ。
碧がいただきますと言って、茶をすすった。
「美味しい」
安物の葉だ。 それでも、しばれる夜には暖かい茶が骨身に染みる。
~
ほんの数行ですが、その前後の話の内容も含めて、
この場面のふたりの情景がふたりのお互いへの気持ちを表していると私が感じた素敵な場面です。
今回は、寒い季節のこんな情景に合う「茶」を描きたいと思います。
ひとつ目は、「くき茶(棒茶)」です。
茶の茎の部分を集め、つくるお茶が「くき茶」です。
またその茎が棒のような形状をしていることから「棒茶」とも呼ばれます。
煎茶を仕上げていく段階で、原料である荒茶(あらちゃ)から茎や粉の部分を取り除いてきれいにしていくのですが、
その工程でできた茎を中心につくるお茶です。
今から60数年前、茶の甘み・旨み成分である「テアニン」茶樹内でがどのように生成し転流するかが注目され、
「テアニン」の代謝に関する研究がなされたそうです。
その結果、「テアニン」は葉ではなく根でつくられるということがわかりました。
そこから一番近い「茎」には「テアニン」が豊富に含まれているというわけです。
そのために熱湯で淹れても、おいしく飲むことができるのです。
ふたつ目は、「抹茶入り玄米茶」です。
石松園では森の改良 手もみ茶に、熱風焙煎したヒヨクもち米を混ぜ合わせてつくります。
熱風焙煎された玄米は、プクッとふくれてつややかで抜群の香りを持っています。
また、そこにさらに玄米をポップコーンのようにはざした白い 「花」 を加えます。
最後に、そこに静岡県の誇る玉露・碾茶(抹茶の原料)の名産地、岡部町産の抹茶を混ぜ合わせます。
この茶の特徴は、玄米のやさしい香りと抹茶による絵具のようなきれいな緑色です。
みっつ目は、「ほうじ茶」です。
緑茶(石松園の場合は主に茶の茎の部分)を焙煎してつくります。
火で熱して、炒ることによって茶葉の色は緑から茶色(きつね色)になり、淹れた茶の色も同じく変化します。
また、ほうじ茶は茶葉を高熱で焙煎することによって、カフェインが昇華し(固体から気体に直接変化すること)減少すると言われています。
その点から、赤ちゃん・妊婦さん・お年寄りにやさしいお茶であるということが出来ます。
上記した3種類は熱湯でガンガン淹れても、熱々で「香りよし。色よし。味よし。」と三拍子揃ったお茶を愉しむことが出来ます。
そして、子供が嫌がる「渋みや苦み」が少ないのが特徴です。
子供から、若者、私たちの世代、お年寄りまで、誰もに飲みやすく人気のある「茶」です。
この寒い夜、熱いお茶であたたまっていただきたいと思います。