お茶コラム

2016年、「茶の定期便」最終便。

2016年12月15日 09:17

石松園の高野です。
今年最後の「茶の定期便」を発送させていただきました。
この「茶の定期便」は、毎月一度、毎月その季節に合わせた異なる茶を
お届けするという企画で、開始から五年目となりました。
開始当時は試行錯誤の連続でした。
その当時を知ってくださっているお客様もこの定期便で出逢って
五年目のお付き合いとなります。
毎月自分の心情を茶にのせてお届けするようなイメージでおつくりしております。
宛名を見ながら「今どうされているのかな」なんて想像しながら、
ワクワクしながらメニューを考えています。
以下、今年の最終便に付した手紙です。

 

     お茶の定期便 (12月)
いつも、ありがとうございます。
師走、何かと気ぜわしいこの頃となりましたが、いかがお過ごしですか。
今月は、新しい年を慶ぶお正月の茶として「大福茶(おおぶくちゃ)」をお届けさせて頂きます。

  「大福茶」 とは 。
日本茶業中央会監修の「緑茶の事典」によると、
「関西で、主として正月に行われる縁起物の茶で王服(おうぶく)茶(ちゃ)・皇服(おうぶく)茶(ちゃ)ともいう。
今日でも梅干しや昆布をお茶に入れたものを飲む習慣がある。」 とあります。

その由来は、天暦5年(951年)、村上天皇の時代にまでさかのぼります。
当時、都に流行していた疫病を退散させるため、六波羅密寺(京都)の空也上人が観音菩薩像を作り、
車に乗せて街中をまわりながら、疫病に苦しむ人達にお茶をふるまったそうです。
やがて、疫病はおさまり、病に伏していた村上天皇もこのお茶で平癒したと伝えられています。
以来、村上天皇は正月元旦にこのお茶を服して人々の無病息災を祈るようになり、
「皇服茶(王服茶)」と呼ばれるようになりました。
「皇服茶(王服茶)」は、庶民に幸福をもたらすという意味から「大福」の文字があてられるようになり、
悪疫から逃れられる縁起の良いお茶として言い伝えられています。
現在でも、六波羅密寺(京都)では正月三が日、皇服茶がふるまわれたり、
多くの家庭が大福茶で正月を祝うそうです。

一方では、「大服茶」とも書き表され、
お茶を多量に飲む意味の「大服」の音が「大福」の縁起に通じることからこの名がついたという説もあります。

いずれにしても、大福茶とは、お正月のお祝いのお茶として、
一年間の無病息災を祈り、幸せを願い飲むお茶のことです。
そして、「大福茶」 には人々の健康・幸せを祈り、願う気持ちが込められているのです。
そんなお茶を元旦に飲む幸せをぜひ味わって頂きたいと思います

(1) 大福茶 (おおぶくちゃ)
石松園では、上記した「大福茶」の由来を表現するために、
その 「想い」 を大切に考え、おつくり致しております。
よって、一般に販売されている大福茶とは異なるものだと思います。

石松園の大福茶には、緑茶・金箔・黒豆・玄米・花(玄米をはざしたもの)・抹茶の6種類が配合されております。
そしてそのひとつひとつに意味・想いを込めております。
「緑茶」には、石松園独自の茶 「森の改良 手もみ茶」2016年度産を使用しています。
「金箔」は「新しい年を迎えた喜びとお祝いの華やかさ」を表現し、
「豆」には「穀物には生命力が備わっており、また節分同様に一年の無病息災を願うという意味」を込めています。
「玄米」と「花」は「お祝いを演出する色と香り」です。
 また、玄米の香りには「癒し」の効果があり、ビタミンBなどが豊富に含まれております。
また緑茶と組み合わせることでビタミンCも摂取でき、美肌・ストレス解消にもつながります。
「抹茶」はお祝いを綺麗な緑色で表現すると同時に、
「茶」をまるごと体内に摂取することで健康的な成分を取り込めるという一年の健康への願いも込めてあります。

特に、インフルエンザの流行する冬はカテキンパワーで乗り切って頂きたいです。
そうした想いの詰まった 「色彩」 「香り」 「味わい」 その全てを
 お愉しみいただきたいです。

(2) 森の改良手もみ茶

今年一年間の感謝を込めて、
日本唯一の石松園の伝統茶「森の改良 手揉み茶」をお選びさせていただきました。
中でも、今年五月、最初に遠州森町に在る山の茶園で摘採された茶葉を、
ひと夏冷蔵庫で保管して熟成させ、仕上げた一品です。
新茶から感じるフレッシュさとはまた一味違った味わいと香りをお楽しみいただきたいです。

(3)  静岡抹茶チョコレート 干支缶入り
2016年の干支 「酉(とり)」 の柄の友禅和紙を職人さんが一本一本巻いた茶缶に、
石松園特製の「静岡抹茶チョコレート」をお詰め致しました。
静岡県産の抹茶の品質・抹茶の使用量に、
そして岡山県ヒルゼン高原産のジャージーミルクにこだわり、
おつくりいたしております。

(4) 石松園オリジナル湯呑み
この年末、石松園でははじめてオリジナルの湯呑みを製造いたしました。
焼津市在住のイラストレーター やまむら ともよさんに描いていただいた
ネコの「茶々」をモチーフにしたプリントがされています。
お使いいただけたら、嬉しいです。

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日に日に寒さを増していますが、お風邪などひかぬよう お身体 ご自愛ください。
今年一年間、本当にありがとうございました。
来年もどうぞ よろしくお願いいたします。 

お茶の石松園  高野 一夫

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