新しい年のお茶、「新茶」のゴールデンウイークは続きます。
2017年05月09日 23:14
石松園の高野です。
2017年度、石松園では4月21日からの新茶の販売を開始させていただきました。
静岡県内各産地の茶が集まる静岡茶市場では、4月24日に
「新茶初取引」が行われました。
例年ですとここから5月2日の八十八夜に向けて、
新茶の生産は本格化していくのですが、
今年については量がまとまらずに
少しずつ伸びた茶を製造するという状況です。
それは、今年の一番茶は例年と比べて生育が遅れているからです。
3月気温が低かったことに加えて、4月~5月にかけても日中は気温が上がりましたが朝晩は冷え込み、
なかなか新芽が伸びなかったことがその理由です。
しかし、その分気温の寒暖の差の中でしっかり伸びてきた今年の茶は、
味・香りともに例年と比べて品質に優れたとても素晴らしい新茶となりました。
そんなおいしい新茶をお届けするべく、全力で今年も新茶に取り組んでおります。
以下に今月発送した「茶の定期便」に付したお手紙を記載します。
今年の新茶の感じをお伝えできたらと思います。
茶の定期便(五月)(プレミアム)
いつもありがとうございます。新しい年のお茶、「新茶」の季節のはじまりです。
(1) 初摘み新茶 遠州森町産 深蒸し煎茶
遠州森町産の深蒸し煎茶です。
茶の製造における最初の工程「蒸熱(茶の葉を蒸気で蒸す)」における一般的な蒸し時間は30秒~40秒ですが、
「深蒸し煎茶」はその倍の60秒~80秒ほど蒸します。
蒸すことにより渋みが抑えられ、また葉が細かくなり、
抽出すると濃い緑色でまろやかなコクがあるのが特長です。
茶にはいろいろなタイプの茶質がありますが、この「深蒸し煎茶」は飲みやすく、
誰が淹れても同じように淹れることが出来る茶であるかと思います。
新茶特有の甘みをお愉しみください。
(2) 初摘み新茶 川根産 浅蒸し煎茶
蒸す時間が短いため、茶葉の形状がしっかりとした茶です。
そのため、淹れた茶の味わいはとても優しく、甘み・旨味の強い茶です。
淹れた茶の色は山吹色です。
近年は湯呑みにしっかりと緑色が表現されることがおいしい茶のポイントであるという風潮もありますが、
この茶には、この茶ならではの茶のおいしさが在るのです。
ホッと安心するお茶です。
(1)の深蒸し煎茶の対極に位置する茶であるかと思います。
茶の定期便(五月)(ベーシック)
(1) 八十八夜新茶 遠州森町産 深蒸し煎茶
八十八夜、5月2日に摘んだ茶葉でつくったお茶です。
八十八夜とは、立春から数えて88日目にあたる農業節の一つです。
現行の暦では、5月1日か2日にあたり、今年は5月2日で茶業界では緑茶の日としています。
古来、八十八夜に摘まれたお茶を飲むと長生きできるという言い伝えがあります。
そんな八十八夜摘み静岡新茶を飲んで、一年間健康にお過ごしいただきたいと思います。
(2) 新茶限定品 生茶 牧之原産
生々しく瑞瑞しいこの時期にしか味わうことのできない新茶の中の「新茶」です。
茶業界では「荒茶」と呼びます。
通常販売している茶は、この「荒茶」から茎や粉をはずし、
より乾燥させて「仕上げ茶」として袋詰めをいたします。
しかし、この「生茶」は敢えて手を加えずに、
茶そのものを味わっていただきたいという思いを込めてお届けいたします。
毎年この「生茶」は牧之原の指定農園にお願いしております。
昨年は4月26日摘みの茶葉でしたが、今年は生茶に適する茶葉は5月6日摘みの茶葉とお選び致しました。
新茶特有の「甘味」を感じていただきたいと思います。
また、乾燥度合いが弱いため、夏前・7月下旬までにはお飲みいただきたく存じます。
新茶を飲むと一年健康でいられるという言い伝えがあります。
この一年、健康にお過ごしください。 お茶の石松園
こんな風にお送りさせていただきました。
例年ゴールデンウイークは茶業界にとっても、
素晴らしいゴールデンウイークです。
様々な産地や様々な品種、生産家ひとりひとりのつくりかたによる個性ある茶葉など
いろいろな新茶に出逢うことができる一週間です。
上記したように今年は例年より遅れているため、
ここからがまた新たなゴールデンウイークを迎えることになりそうです。
そんな「新茶」のおもしろさを、心を込めてお伝えしていきます。