お茶コラム

秋。じっくりねかせた、熟成茶の味わいを。

2017年09月22日 10:13

石松園の高野です。

ここ数日、日増しに秋を感じるようになってきました。
そんな秋の時間にふさわしいお茶を意識して、今月の「茶の定期便」として
お送りさせていただきました。
以下、その茶に付したお手紙です。

お茶の定期便(9月)

いつもありがとうございます。
日増しに秋の深まりを感じる今日この頃、皆様お変わりございませんか。
今月も、今 味わっていただきたい茶をお届けしたいと思います。

今月のテーマは「秋の茶」です。
茶葉はねかせることによって、良くも悪くも変質します。
そしてそれはそれぞれのお茶屋に伝わる技術であると思います。
茶の最も贅沢な愉しみ方のひとつをお届けいたします。

ひとつめは、【烏龍茶】です。
この茶は「四番茶」といって9月26日に摘採の、その年度最後に摘採された茶葉を使用しています。
気候状況が4月と似ていることから、この時期に作られる茶は~味の春茶・香りの秋茶~とも言われています。
また近年の茶の消費低迷から摘採が行われることが少なく、逆に希少価値があるとも思います。
今回はそんな秋摘みの烏龍茶をさらに厳選し、石松園の冷蔵庫において、
一年間真空状態でじっくりとねかせておいた2016年度産のものをお届けいたします。
私もワクワクしながら開封しましたが、
香り・味わいにおいて、角が取れて雑味やクセが全くありませんでした。
すぅーっと口に入ってきて自然のままに溶け込んで、
口から鼻にかけてふゎーっと全体にとてもまろやかでやさしい甘みが拡がるといった感じです。

(1) 和烏龍茶(かぐや姫)

この茶は、藤枝市、麓氏の茶です。
麓さんは「あるがまま、なるがまま。」というテーマを持ちながら、
お茶づくりに取り組んでいらっしゃいます。

今回の茶は茶葉を月の光の下で、萎凋(いちょう。簡潔に言えば、茶の生葉をしおれさせること。)
させてつくった「烏龍茶」です。
月光の下でつくる茶であることから「かぐや姫」と名付けています。
今回は「さやまかおり」という品種の茶葉でつくりました。
袋を開けた瞬間にフワッと拡がり、鼻孔に届くなんとも形容しがたい甘美な香りがこの品種の特徴です。
また、飲み口もとてもやさしい甘みのある茶です。
まさに「癒し」を与えてくれる茶とは、こういう茶のことであると思います。
高根山のふもとで、様々な「茶の可能性」に取り組むその姿勢が「茶葉」にもしっかりと表現されていると感じます。
とてもやさしい茶です。
世界緑茶コンテストにおいて、最高金賞を受賞しています。

そしてもうひとつは、【森の改良手もみ茶】です。
春に摘んだ茶葉をこの時期にどう仕上げるかが茶師にとってとても大切な仕事です。
夏を越した今、茶葉はその内質が変化しています。
旨味が増す茶葉、香りが増す茶葉など、ひとつひとつが時間を経ることによって、
それぞれの個性が現れてくるのです。
この春の新茶期に出会った茶葉が成長し熟成されて、
角が取れてまろやかになり、香りや味わいが深まるといった感じです。
今年の5月、一番最初に出た新芽を摘んだ「森の改良手もみ茶 №1」をお届けいたします。

(2) 森の改良 手もみ茶

 この茶は石松園の代名詞というべき茶です。
石松園の初代 濱吉が静岡県遠州森町からさらに山深い、
川霧の立ち込める寒暖差の激しい山の北側の斜面に茶畑を見つけたのが、
この石松園のはじまりです。
この地の茶は「森の改良手もみ茶」と名付けられ、
三代目である私に至る現在もなお、変わることなく栽培・製造させていただいております。
この茶の風味の特徴をひとことで表すなら、
「山の香りと重厚な味わいを有する」ということです。

今回、2017年度産の茶葉の中から、
5月7日花島義久さん摘採・製造の茶葉を石松園が仕上げた「2017 №1」をお届けいたします。
この茶葉については、5月の新茶期には山のワイルドさが在り過ぎると感じていました。
もちろん素晴らしいことで、今年イチバンの茶葉であるとすぐに思いました。
しかし、春の時点では味わいが強すぎると感じて、冷蔵庫にて保存していました。
そしてひと夏越した今、真価を発揮するときが来たのでした。
まるでヤンチャ坊主の高校生が大人になったような。

ひと夏越して、その個性を柔らかく表す茶の深みをご堪能いただきたいと思います。

 

季節の変わり目体調管理には十分に留意され、秋の夜長を一杯のお茶とともにお愉しみください。      

  お茶の石松園  高野 一夫

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