さあ、早場所スタート。新茶用語の基礎知識(1)「早場所とは?」
2020年04月22日 18:34
石松園の高野です。
石松園では、明日から2020年の新茶販売を開始させていただきます。
こうして新茶を迎えることができるのは、
支えてくださっている方々のおかげであると感じながら準備を進めています。
新茶の時期(芽の出る時期)は、お茶を摘む場所によって異なります。
茶業関係者は、早場所・遅場所という呼び方をします。
初めて聞いたときはなんだか相撲みたいでよくわからないなと思いました。
しかし日に日にお茶の生産地が増えていく様子を毎年体感して、今では体に染みついています。
わかりやすく例えるなら、桜前線のようで、おおむね南から北へ、高度の低い所から高い所へと摘採地は拡がっていきます。
その摘採が早く始まる地域を「早場所」、遅く始まる場所を「遅場所」といいます。
種子島や鹿児島からスタートした新茶は、ここ静岡県においては島田市初倉や御前崎市、牧之原市相良や磐田市などの比較的南西部に位置する高度の低い温暖な土地からスタートしていきます。
「早場所」と呼ぶ地域です。
それに対して、山間地の掛川市や森町、川根や足久保や天竜、そして静岡県東部地区の富士や沼津といった地域は比較的に新茶の始まりの遅い「遅場所」と呼ぶ地域です。
上の写真は、「早場所」と呼ばれる比較的新茶の生育が早い地域
における生育状況です。(2020年4月22日 島田市初倉にて撮影)
下の写真は、「遅場所」と呼ばれる比較的新茶の生育が遅い地域
における生育状況です。(2020年4月20日 周智郡森町にて撮影)
こうして比べてみるとその違いに驚きますが、この時期は特に私達が飲む茶というものは植物であり、立地や気象という環境によって生育状況が変わるということを思い知らされます。
またその環境によって、香り・味・淹れた色など、ひとことに「緑茶」と言っても驚くほどに大きな違いがあります。
そのどちらにもそれぞれの良さや特徴があり、人によって好みが大きくわかれるかと思います。
以前、茶農家のおじいさんがおっしゃっていました。
「人間は早い遅いと大騒ぎするけど、茶は人間が思うようにはならんなぁ。」
そんな新茶を思いっきり楽しみたいと思います。
そしてたくさんの「新茶」があることをお伝えしたいと思います。