「いくらの新茶を買ったらいいのか??」 ~新茶の基礎知識(9)~
2020年05月03日 14:19
石松園の高野です。
ここ静岡県の新茶も、気温がグッと上がり始めたことも受けて、「早場所」から「遅場所」へと拡がりつつあります。
上記写真は「遅場所」と言われる同じ茶園の写真です。
この12日間で、新茶はすくすくと力強く伸びています。
今日のテーマは、「いくらの新茶を買ったらいいの??」というご質問への私なりの解答です。
一般的にお茶屋で販売している価格としては、100gあたり、
「5000円」「3000円」「2000円」「1500円」「1200円」「1000円」「800円」「600円」「500円」「300円」という感じです。
初めてこの仕事に就いた時には、あまりの幅の大きさと、あまりに細かく刻んで価格設定されていることに驚きました。
特に「1500円•1200円•1000円って何が違うのだろう??」と思いました。
今はわかることですが、ここには茶業界に努める方々の、真剣な努力が現れていると感じています。
真面目に日々お茶を仕入れて、加工していると、例えば100gあたり100円の違いにも大きな違いがあるのです。
ただ、このことをうまく伝えることができていないことが茶業界の問題かとも思っています。
販売する新茶の仕入れ価格は、その茶自体の「出来栄え」によります。
石松園の場合は決まった茶園から仕入れることから、そのお茶そのものの出来こそが全てです。
一般的には、「収穫量」、前日までの「市場価格」などのその時期の相場の影響という外的影響もあるのも事実です。
またそれとは別次元で、圧倒的な栽培や製造の技によって価格も別次元といった新茶もあります。
そんな中、私の考え方は以下です。
「100gあたり」
①「5000円〜3000円」
今年の現在しか味わうことの出来ない茶です。
なくなり次第終了といったものです。
(この時期しか渡すことができない、特別なプレゼントとして最適です。)
②「2000円〜1500円」
どこに出しても、誰に出しても絶対的に美味しい新茶。
新芽の柔らかさ•甘み•淹れた茶のきれいな緑色といった初摘みの新茶というイメージ満載のお茶です。
(お世話になっている方へのプレゼントとして、自分へのご褒美として最適です。)
③「1200円〜1000円」
一番人気の価格帯です。
新茶の「旬」ともいうべき味•香り•淹れた色が満載です。
(親戚や身近な方、友達へのプレゼントとして、ご自宅みんなでの新茶として最適です。)
④「800円〜600円」
特にこの時期の一番茶だけでつくられるこの価格帯はお買い得です。
私は茶のまとめ買いはおすすめしていませんが、100g詰めの小分けの状態で、夏前までに飲み切れる分のまとめ買いはいいと思います。
(ご自宅用に、普段使いの茶として最適です。)
⑤「500円•300円」
ここ数年の茶の価格の推移からすると、ここまでが一番茶で出来てしまう状況であることが茶業界における問題であるとも感じています。
基本的には、この価格帯は日常的にまた業務用として飲まれるお茶かと思います。
石松園においては500円と300円の差は明確ですが、ここはお茶屋さんによるかもしれません。
(会社で、また業務用に使う茶として最適です。)
私の考えからすると、この時期、一番茶において①〜④がおすすめの「新茶」です。
そしてそれは高価だからいいということではなく、使い方に合わせてご利用頂きたいと感じています。
上記した分け方を基本に置きながら、あとはお店で試飲させてもらうことも大切です。
飲み比べることによって、2000円と1500円は、その違いがはっきりとご理解いただけるかと思います。
そうして納得して、贈る相手を思い浮かべて、自信をもって決めていただきたいと思うのです。
以上が、私なりの「いくら?」への解答です。
この時期にこそ味わうことが出来る「新茶」を大事に伝えたいと考えています。
ここに至るまで、新茶に向かってきたたくさんの気持ちを大切にしたいと感じています。
だからこそ、「新茶セール」や「新茶詰め放題」といった一過性の形ではなく、今しか味わうことの出来ない「新茶」をきちんと伝えたいと思っています。
それは先代から受け継いだ想いだと感じています。
残念ながら、私は一緒に仕事をする機会はありませんでしたが、「うまい茶をつくるだけでいい」。そんな人でした。
引き続き、そんなおもしろい新茶の世界を、この新茶期という流れの真っただ中にいるからこそ!!という熱をもって、お伝えしたいと思います。