「抹茶に新茶はありますか??」 ~新茶の基礎知識(10)~
2020年05月04日 15:46
石松園の高野です。
お電話によるお問い合わせで「抹茶に新茶はありますか??」といただきました。
「はい、ございます。」とお答えさせていただきました。
例年、5月下旬から6月上旬くらいに出来上がります。
抹茶の原料である「碾茶(てんちゃ)」や、「玉露」についても毎年新しい茶が栽培・製造されます。
新芽が出てから日光を遮って(遮光栽培)育てます。
上の写真がこも(わらを編んだもの)による遮光栽培の様子です。
左が外から見た状態、右がその中の様子です。
そのため新茶の時期も若干遅くなるのです。
この遮光栽培をすることによって、茶葉にうまみと甘みが増し、きれいな緑色の茶葉に育つのです。
意外なことに「抹茶」や「玉露」の新茶についてのお問い合わせは少ないです。
それは、「抹茶」や「玉露」については寝かせる(時間を置く)ことによって、熟成させることによって、風味やうま味が増すという見解があるからかもしれません。
茶道に「口切りの茶事」という特別な茶事があります。
「11月になり、「風炉」を片付けて「炉」を開く。
寝かせておいた碾茶の壷の封を切り、茶臼で挽いて、その年初の抹茶をいただく。」といったものです。
つまり一般的には、抹茶の新茶といえば11月と言われているのです。
抹茶は、摘み取った新芽を蒸して、乾かして、昔はこれを茶壺に入れて口をふさぎ、冷暗所に保管し、11月になったらその茶壺の口を切り、新茶として味わったのです。
この「口切りの茶事」は茶道に関わっている人にとってはお正月のような、おめでたい行事です。
しかし、この新茶の「抹茶」や「玉露」には、「新茶」ならではの特有の「フレッシュな風味とうま味」があるとも感じています。
使い方によってはおもしろいのではないかと思うのです。
引き続き、そんなおもしろい新茶の世界を、この新茶期という流れの真っただ中にいるからこそ!!という熱をもって、お伝えしたいと思います。