お茶コラム

「いくらの新茶を買ったらいいのか?2023」

2023年04月22日 12:03

石松園の高野です。

本日2023年度第一号の石松園の新茶ができあがりました。
そこで毎年この時期にお伝えしているテーマを再度見直して、現時点の考えをお伝えしたいと思います。
テーマは、「いくらの新茶を買ったらいいの??」というご質問への私なりの解答です。

一般的にお茶屋で販売している価格としては、100gあたり、
「5000円」「3000円」「2000円」「1500円」「1200円」「1000円」「800円」「600円」「500円」「300円」という感じです。

初めてこの仕事に就いた時には、あまりの幅の大きさと、あまりに細かく刻んで価格設定されていることに驚きました。

特に「1500円•1200円•1000円って何が違うのだろう??」と思いました。

今はわかることですが、ここには茶業界に努める方々の、真剣な努力が現れていると感じています。
真面目に日々お茶を仕入れて、加工していると、例えば100gあたり100円の違いにも大きな違いがあるのです。
摘採した日時、場所、人など様々な要因によって、「出来栄え」は変わります。

そして販売する新茶の仕入れ価格は、その茶の持つその「出来栄え」によります。
石松園の場合は決まった茶園から仕入れることから、お茶そのものの出来こそが全てです。
一般的には、「収穫量」、前日までの「市場価格」などに影響される相場の影響という外的影響もあるのも事実です。
またそれとは別次元で、圧倒的な栽培や製造の技によって価格も別次元といった新茶もあります。
店として「何を伝えたいのか、そしてどんな茶葉を販売したいのか」によって、その店の茶葉の性質や価格帯が決まってくるのだと思います。

そんな中、私の考え方は以下です。

「100gあたり」

①「5000円〜3000円」
今年の現在しか味わうことの出来ないやわらかな味わいです。
生まれたての赤ちゃんのような柔らかな芽でつくるため、新茶の持つ甘みを存分に感じることができます。
なくなり次第終了といった茶葉です。
(この時期しか渡すことができない、特別なプレゼントとして最適です。)

②「2000円〜1500円」
どこに出しても、誰に出しても絶対的に美味しい新茶。
新芽の柔らかさ•甘み•淹れた茶のきれいな緑色といった初摘みの新茶というイメージ満載のお茶です。
茶の持つ滋味をしっかりと感じることができます。
(お世話になっている方へのプレゼントとして、自分へのご褒美として最適です。)

③「1200円〜1000円」
一番人気の価格帯です。
新茶の「旬」ともいうべき味•香り•淹れた色が満載です。
新芽の柔らかさというよりは、はっきりとした新茶のフレッシュさが爆発するといったイメージです。
(親戚や身近な方、友達へのプレゼントとして、ご自宅みんなでの新茶として最適です。)

④「800円〜600円」
特にこの時期の一番茶だけでつくられるこの価格帯はお買い得です。
私は茶のまとめ買いはおすすめしていませんが、100g詰めの小分けの状態で、夏前までに飲み切れる分のまとめ買いはいいと思います。(ご自宅用に、普段使いの茶として最適です。)

⑤「500円•300円」
基本的には、この価格帯は日常的にまた業務用として飲まれるお茶かと思います。
石松園においては500円と300円の差は明確ですが、ここはお茶屋さんによるかもしれません。
(会社で、また業務用に使う茶として最適です。)

私の考えからすると、この時期、一番茶において①〜④がおすすめの「新茶」です。
そしてそれは高価だからいいということではなく、使い方に合わせてご利用頂きたいと感じています。

以上が、私なりの「いくら?」への解答です。

この時期にこそ味わうことが出来る「新茶」を大事に伝えたいと考えています。

ここに至るまで、新茶に向かってきたたくさんの気持ちを大切にしたいと感じています。
だからこそ、「新茶セール」や「新茶詰め放題」といった一過性の形ではなく、今しか味わうことの出来ない「新茶」をきちんと伝えたいと思っています。

それは先代から受け継いだ想いだと感じています。
残念ながら、私は一緒に仕事をする機会はありませんでしたが、「うまい茶をつくるだけでいい」。そんな人でした。

引き続き、そんなおもしろい新茶の世界を、この新茶期という流れの真っただ中にいるからこそ!!という熱をもって、お伝えしたいと思います。

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