秋摘み新茶
2013年09月19日 15:25
石松園の高野です。
昨日私の師である尾村さんがお店に立ち寄って下さいました。その話の中で「秋摘み新茶」の話が出ました。
茶畑では、あと少しすると、9月後半からは、今年最後の茶葉の摘採が行われます。これらの茶は「四番茶」や「秋冬番茶」という呼ばれ方をすることが多く、様々な「茶」の書物には品質的にも劣ると書かれていることが多いです。また、この時期の茶葉を製造するには採算が合わないという理由で、この時期の茶葉を摘んで製造する農家も少ないのが実情です。
私自身も、何となくそういうイメージを持っていました。
しかし、尾村さんはこう言いました。
「やっと涼しくなってきたなぁ。これから数日の気候は新茶の始まる4月によく似ている。今では問屋さんからの要望はないけど、昔はこの時期の手摘みの茶を希少価値があると欲しがった問屋も多かったんだよ。」と。そして「確かに一番茶の色や味わいとは違うけれども、うまく丁寧につくればこの時期特有のお茶がつくれるんだよ。特に香りが抜群のお茶がつくれる。」と言いました。
そしてもうひとつ。「春に摘んだ新茶を、どの時期に、どういう風に仕上げるかがあなたの仕事。玉露などは昔は3年位置いておく方がその味わいが深くなると言われたものだ。ひと夏越すと茶葉は微妙に変化していく。旨みが増す茶葉もあれば、逆に味が落ちてしまう茶葉もある。その出し時を見極めることがとても大切だ。」と言いました。確かにそう思います。それは「産地」や「茶葉の蒸された度合い」によっても大きく違いが在ると常に実感しています。よく「蔵出し茶」や「熟成茶」といった名前で販売されることが多いと思いますが、今年は私も取り組んでみたいと考えています。
少し話がそれましたが、この「秋」ならではの茶をお客様に味わって頂きたいと強く想いました。
「秋摘み茶」を。
そしてひとりの名人が浮かびました。いつも世界緑茶コンテストに「藤枝茶名人」として御一緒させて頂いている、麓さんです。
彼は「釜炒り茶」や「紅茶」や「烏龍茶」や「白茶」といった誰もが作れない茶をつくる名人です。彼の家の周りには茶畑以外にも、プランターや植木鉢に様々な品種が植えてあり、まるで研究所のようです。
日々それらの茶葉をいろいろなつくり方でつくってみて、この品種はこのつくり方が香りが出るとか、この品種は烏龍茶にするとベストだななどといつも研究熱心にお茶づくりに励んでおられます。また、この9月に満月の下でつくる烏龍茶を「かぐや姫」と名付けるとても素敵な方です。
私はすぐに電話をしてみました。すると「そうだね。この時期は気候的には絶好の時期だから、つくる予定だよ。いつ、どのくらいの量が出来るかわからないから、できたらまた連絡するね。」ということでした。
今からその出会いが楽しみです。出来たらご報告させて頂きます。