茶師こだわりの抹茶スイーツ
2013年10月11日 10:26
石松園の高野です。
抹茶を生産している石松園では「抹茶のスイーツ」も取り扱っております。
現在は「抹茶チョコレート」と「抹茶ラスク」の2種類です。
ここ数年お茶屋さんでスイーツを扱うお店が多い中、他店と同化しないように心掛けています。
そのため石松園で抹茶のスイーツを取り扱う場合には「絶対的なルール」があります。
ひとつには「必ず一番摘みの抹茶を使用すること」です。
やはり一番茶の抹茶は色・風味共に抜群です。石松園はお茶屋なのですから、「茶」がしっかりと表現されていなければいけないと考えております。
もうひとつは「お互いに信頼し合える人と何度も話し合い・試作を重ねてオリジナルな商品をつくること」です。
「抹茶チョコレート」の原料は、岡山県蒜山(ひるぜん)高原のジャージー牛乳を使用しています。
ジャージー牛乳とは、ジャージー種という品種の牛からとれた牛乳のことです。イギリス王室向けのミルクを作るためにジャージー島で育てられ、乳牛の中で最も濃厚なミルクを出すと言われています。
日本で最もジャージー牛が飼育されているのは岡山県です。実際に蒜山高原でビンに入った牛乳を飲みましたが、ビンの底にべっとりと脂肪分がこびりつきます。しぼりたての牛乳は淡い金色をおびたとても美しい色で「ゴールデンミルク」とも呼ばれています。
石松園では、そのミルクでつくられた生クリームの使用量を一般的なチョコレートよりも多くし、また抹茶の使用量も多くしました。抹茶とミルクの比率が違うチョコレートを何度も何度もつくって頂きました。一番表現したかったことは「濃厚な風味が伝わるように」ということでした。
「抹茶ラスク」も同様です。パンの生地に抹茶を練り込んで作るのですが、抹茶の使用量を多くすることで緑色をしっかりと表現することはもちろん、袋を開けた瞬間に抹茶の香りを楽しんで頂き、また口に入れた時にしっかりとした味わいを表現したいと思いつくりました。そして、このラスクをつくって下さっているパン屋さんも筋金入りの真面目さです。
ある日、ある男性がお店にご来店されました。「このお店に抹茶ラスクありますよね?」と言われました。ちょうど届いたばかりでまだ袋詰めして店頭に出ていなかったのでした。「はい、ございます。今すぐお詰め致しますね。」と言うと、「実は僕そのラスクを焼いているのですが、食べたことがないのです。」とおっしゃいました。そうです。そのパン屋さんで働いている工場長だったのです。いつもやり取りしている方ではなく、現場の方です。彼は言われたとおりにラスクを焼いてくれていたのですが、そのまじめな性格から一度もつまみ食いをしなかったそうなのです。いつもおいしくつくって下さっているのでそのまま渡そうとすると、どうしても買って食べたいということでした。
今後もこの静岡県の「抹茶」を使用して、誰も食べたことのないようなスイーツをつくってみたいと思います。