お茶コラム

急須がなくお茶の淹れ方がわからない方へ、美味しいお茶の淹れ方を伝授します

2013年11月08日 09:18

石松園の高野です。

今日も様々なお客様にご来店頂きました。そして「茶」を飲みながら、そのお客様といろいろな話をさせて頂きました。
こうした日常に、「店」が在ることの喜びを感じさせて頂いております。

夕方にご来店されたお客様は、今日実際にラジオで聞いた「お茶」に関するお話をして下さいました。
とある小学校の家庭科の時間の中で「お茶の淹れ方」の授業で実際にあった話だそうです。
その子の家には「急須」が無いそうです。そしてその子はお茶っ葉を急須に入れて、そこに水を入れて、レンジの火にかけたそうです。そのお客様は「急須の無い家庭って本当にあるんだね。」とおっしゃっていましたが、実際にあるのです。
私も「小学校」や「公民館」や「幼稚園の母親学級」などで「お茶の淹れ方教室」をさせて頂くことがあります。
その時に私は必ず持ち物として、「普段実際に使っている急須」を持ってきていただくようにしています。それは講座の中で「急須の使い方」や「よい急須と悪い急須の見分け方」などをお話しするためなのですが、実際には講座の対象者の年齢にもよりますが、子供や20代~30代のお母様を対象にした場合大体1割~2割の方は持っていないという状況です。誰が悪いというわけではありません。ただ生活様式や食生活の変化に伴い、「文化」までもが失われていくという現実がそこにあると感じます。だから、私は「茶」に関わる者として、伝えなければいけないと感じています。

ということで今回はこの場で、「世界一わかりやすいお茶の淹れ方講座」をやりたいと思います。

<2人で煎茶を飲む場合>

用意するもの

写真1

急須  湯のみ(マグカップでもよい) お湯(ポットでもやかんでもよい)
茶葉(5g) 1人分は約3gそこから1人増えるごとに2g位足していく。5人分で10g程度。

写真2

お湯の量をはかる・お湯をさます・湯のみを温める。

写真3

これは「急須」に入れる前にまず「湯のみ」にお湯を入れるということです。
このことは、「人数分のお茶を正確な量で淹れるための計量」を行い、「湯を冷ます」ことと、「湯のみを温める」ことを同時に行っているのです。「湯の温度」も温度計で測る必要はありません。ポットから注いだお湯は最初は勢いよく湯気が出て、湯のみを持っていられないほどに熱いです。この湯気が落ち着いてきて、湯のみを持っても熱くなく持てるようになった時が「淹れ時」です。

茶葉を急須に入れ、湯のみのお湯を注ぐ。

写真4

フタをして約1分間待ちます。この際、急須は置いたままで、ゆすったりする必要はありません。

「茶」を淹れる。

写真5

それぞれの湯のみに均等に淹れていきます。2杯の場合は、1・2と注ぎ、次は2・1と注ぎ、色が均一になるように
淹れていきます。

最後の一滴をしっかりと絞り出す。

写真6

これは最後の一滴が「ゴールデンドロップ」と呼ばれ、最高の「旨み」の一滴であると言われることが多いのですが、その意味に加え、次の2煎目をおいしく飲むために急須内に水分を残さないという意味があります。

完成

写真7

本などには難しく描かれているものも多いと思いますが、基本は上記の通りです。
そこから自分の好みに合わせて、「甘く淹れたい時は冷ます時間を長くする」 「渋く淹れたい時はもう少し熱いお湯で淹れてみる」や「濃いのを飲みたいから茶葉の量を増やす」などと変化を付けていけばいいのです。試せば試すほどにいろいろなことが分かってくると思います。

今日お店に、私の恩師が訪ねて来て下さいました。そして仰いました。
「いくら努力しても、天才にはなることができない。だが努力すれば、本物になることが出来る。」と。
努力したいと思います。

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