温かいお茶が美味しい季節、大人気のお茶をご紹介します
2013年11月12日 09:55
石松園の高野です。
ここ数日「寒さ」が増してまいりました。今日、東京地方で「木枯らし1号が吹いた。」と発表されたそうです。
これは「10月半ばから11月末の間に冬型の気圧配置にとなり、最大風速8メートル以上の北よりの風」という条件を満たした最初の日に発表されるものだそうです。そして今年の「木枯らし1号」は、昨年より7日早いそうです。
寒さが増すにつれ、「温かいお茶が飲みたくなったよ。」との電話も増しております。
そんな中、今日は石松園の、いや茶業界における隠れた「人気者」をご紹介したいと思います。
この「茶」は、根強いファンを持つお茶ですが、あまり馴染みのない「茶」であると思います。
今日はそんな「茶」にスポットをあてたいと思います。
それは、「芽茶(めちゃ)」です。
この茶は「荒茶(原料としての茶葉)」から「仕上げ茶(製品としての茶葉)」へと製造する工程の中で生まれる茶で、茶葉や芽の先端の柔らかい芯の部分を集めたお茶のことをいいます。その見た目の特徴は、小さくてクルクルと丸かった形状です。これは、茶の芽や葉の先端は水分が多くやわらかいために、自然に丸まりやすいためです。また茶の芯の部分であるため、重いのもその特徴です。
我が石松園では、伝統的にこの「芯」をとても大切にしており、代々伝わる「仕上げ方法の書」には「いかにしてこの部位を抜き、有効に使うか」ということが数ページに渡り記されております。ある「お茶屋さん」は、「売れるのはいいけど、芽茶ばかり出過ぎるとそれはそれで困るよ。」とも言います。この「芽茶(芯)」を抜いたお茶はどうしても軽くなってしまうからです。それは重さという点においても、味という点においてもです。
「芽茶」を、淹れてみました。
「旨み」や「渋み」がどれも強く、淹れた茶の色も濃い緑色です。
これは、茶の芽や葉の先端部分には茶の持つエキスが凝縮されているため、この茶の風味は自然と力強く濃厚な味わいとなるということであると思います。そのため、淹れる湯の温度を少し冷ますと「旨み」の強い、まったりとした味わいになりますし、熱い湯の場合は濃くなりすぎることもあります。ただ、そのふた通りが簡単に楽しめるという点は「芽茶」ならではの持ち味であると思います。
また、この茶のもう一つの特徴は「安価」であることです。
実際には、一番摘みのお茶から採った場合は、その茶と同質の「おいしさ」を持っています。しかし、茶業界においては、この「芽茶」や「くき茶」や「粉茶」については「出物(でもの)」=「副産物」というような捉え方をしているために、どういうわけか「安価」です。その意味では、本当に「お買い得な茶」であると思います。
是非とも一度は出会って頂きたい「茶」です。