「新茶」の意味、知っていますか?
2014年03月27日 09:56
石松園の高野です。
最近少しずつ暖かくなってきました。暖かくなるにつれて、お店にご来店されるお客様や新茶をいつもお取引先様に送って下さる会社の方から「今年の新茶はどう?」と聞かれます。新茶前のこの時期ならではの挨拶といった感じで、とても嬉しいやり取りです。おそらく地域によって差が在るのだと思いますが、ここ静岡県ではこの時期毎年交わす言葉です。
また、静岡県には「静岡新聞」という地方新聞があるのですが、この新聞の夕刊には毎日「茶況」というコーナーがあります。ここにはその名の通り毎日「お茶」に関する記事が掲載されます。県内各茶産地の状況や県茶業者の動向などが掲載されたり、特に「新茶」が始まるとその日の各産地の取引価格や収量が掲載されます。それだけ静岡県民にとって「茶」は身近な存在であると実感いたします。
これは3月25日の夕刊の「茶況」です。
昨年2013年は3月の気温上昇を受けて、例年よりも1週間早くスタートした「新茶」の取引が、平年並みに戻るであろうと言う記事でした。
そこで「新茶」とは何か? 今回はそのテーマで描きたいと思います。
調べてみると「その年の春に始めて生産される茶。」とあります。その通りです。そしてもう少し付け加えるとすれば、茶はとても生命力の強い植物で、春に収穫する一番茶に始まり、二番茶(一番茶摘採後45日~50日後、静岡県では6月~7月頃)、三番茶(7月~8月頃)、四番茶と摘採されます。一番茶とは、その年最初に発芽した芽でつくるお茶のことです。茶業界ではその年に生産したお茶のことを「新茶」それ以前のお茶のことを「古茶」と呼びますが、この一番茶はまさに「新茶」ならではの香りを存分に持っています。
2013年4月11日 牧之原の茶園
そして「茶」は、「飲料」であると同時に「植物」です。その観点から言えば気象条件の影響にとても左右されます。それは「採れる時期」「出来栄え(味・香り・風味・色)」に大きな影響を与えます。
先ほど少し触れた2013年度は、3月暖かい日が続き、桜も早く茶の樹の成長も例年より早く進みました。そのために、静岡県の南部の比較的早く茶の摘採が行われる地域(早場所)は例年よりも10日近く早くスタートしたのです。
改めて手帳をみてみると、石松園が最初に牧之原の農園で仕入れた荒茶(茶の原料)は2012年が4月22日朝3時であったのに対し、2013年は4月13日の同時刻でした。そして逆に山間部「遠州森町」の茶畑で摘採が始まったのは、2012年が5月5日で2013年が5月11日でした。これは3月高かった気温が4月に入って低下したことが影響したのでした。こうした様々な気象の影響を受けながら茶の樹は日々成長しているのです。
また「八十八夜」という言葉ですが、これは「立春」から数えて88日目のことを指す農業節のひとつです。
今年は5月2日が八十八夜です。八十八夜の茶を飲むと長生きすると言われています。
今年の「新茶」を愉しみながら、家族みなで無病息災を祈って頂きたいと思います。