厳選した石松園の新茶、ついにお披露目です!
2014年04月23日 09:57
石松園の高野です。
先日20日の日曜日、石松園銘茶本舗の記念すべき「2014年度 新茶第一号」が出来上がりました。
品種 やぶきた、手摘みの茶葉です。今年も新茶に向き合えるという喜びをこころから感じました。
どういう茶葉であるか説明させていただきます。
まず、この品種とは「茶の品種名」です。
お米に「こしひかり」や「あきたこまち」などがあるように、お茶にも「やぶきた」や「あさつゆ」や「こうしゅん」といった品種が在ります。この「やぶきた」は昭和28年に登録された品種です。品質は煎茶として極めて良好であり、独特の強い香気を持ち、滋味優雅で甘みに富むと言われています。
現在の静岡県駿河区の農家であり、茶の研究家であった杉山彦三郎さんが選抜されました。
この「やぶきた」という名前はまるで冗談みたいな付き方をしました。当時、彦三郎さんが所有していた「竹やぶ」を切り開いた茶園の茶の樹から優良品種を選抜し、北側を「やぶきた」、南側を「やぶみなみ」と名付けた結果、北側が最終的に選抜されたそうです。
また「手摘み」についてですが、これは茶の新芽の摘採方法です。手でひとつひとつ、若くていい芽だけを摘んでいきます。そのため、古い葉や茎が混入しないとても良質な「茶」ができあがりますが、能率は悪いです。機械で一気に刈り取れば数分でできる作業も、場合によっては数時間ととても手間と時間がかかります。ただ、そうした努力によって、その年一番最初の「新茶」が出来上がるのです。
できあがった「茶」をよく見てみると、本当に柔らかい新芽を確認することが出来ます。静岡県ではこの「芽の柔らかさ」を「みるい」と表現します。私が初めて「茶市場」や「茶農家」で茶を見ながら話を聞いた時、みんなが茶葉を見たり触りながら「みるいなー。」という褒め言葉を連発するのには驚きました。意味がサッパリわからなかったのです。この「みるい」の反対は「こわい」です。日の光を浴びすぎて、ガサガサしていたり大きくなってしまった茶葉を見て「こわいなー。」と言うのです。
話を元に戻します。この時期の最初の新茶「大走りの茶葉」には、この時期にしか有することのできない「みるさ」と「生々しい香り」があるのです。これは本当にこの一刻のものなのです。
「茶葉の青さ」や「味の濃さ」といった新茶ならではの「旬の味わい」はまだこれから出てきます。そういう意味ではこの新茶期の「新茶の変化」を味わうのもこの時期にしか味わえない楽しみ方の一つかと思います。
4月20日頃の「大走り」は「赤ちゃん」です。4月末頃の「初摘み」は「小学生」です。5月2日の「八十八夜」は「中高生」です。
私の中ではこんなイメージです。多くの製茶問屋では、一番茶(静岡県では4月~5月)摘採が終わると、年間販売用の製茶を行っていきます。そういう意味では、この4月中頃~5月は天候や気象条件によって日々変化する「茶」を実感することが出来る「至福の時」なのです。
また一方では、茶を扱うものにとって、この「一刻」が大きな判断となる世界です。この一瞬一瞬で「茶の価格」が変化したり、「仕入れ量」の過不足がでたりという日々の勝負です。実際に日曜日には「荒茶」を仕入れることが出来ても、日曜日と月曜日の雨で、月曜日と火曜日には「荒茶」の仕入れが行えないということも起きています。
そんな日々の中、自信を持って「新茶」をお届したいと思います。